2JZターボ・ハコスカ「今後の課題は、ボディや駆動系、ブレーキ系を、このエンジンに見合う性能に高めること」【4】1971年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-X

2JZ型改3.4LにT04Zシングルターボ 700psオーバーのモンスター・ハコスカ

       
3.0L直列6気筒DOHC。2JZ型は、トヨタが誇る最強エンジンの一つ。群を抜く耐久性は、製造中止から10数年が経過した今もチューニングベースとして人気絶大だ。このハコスカの心臓は、そんな2JZの最高峰チューンド。ブースト1.0kg/㎠で500ps超え、1.5kg/㎠で700psオーバーの世界へ。1トンほどの車重にこのパワー、加速感は想像を絶する。

【1971年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-X Vol.4】

【3】から続く

「配線の引き直しから、エンジンメンバーはワンオフ、ミッションも後方にずらすハードチューン。やっぱり餅は餅屋、仕上がりの完成度が違いますわ。アップデートしたことで、昔の仕様が薄れてしまったのはちょっとサビしいけど、それも時代の流れ。自分は黙って裏方に徹することにしました」

 もちろん、このハコスカの見せ場はエンジンだけではない。自らを裏方と話すオーナーが手がけた外装や内装にも見所は多い。例えば、ボディは、ボンネットとオーバーフェンダーがカーボン。ドアやフェンダー、トランクは全てFRP製で軽量化されている。ブレーキは、やや役不足の感があるものの、当時の雰囲気を生かすMK63キャリパーを装着。バーンナウト用にラインロックシステムも装備している。タイヤは、驚異的なパワーとトルクによるボディへの負担を考え、あえてそれまでのSタイヤから、ハイグリップラジアルに交換している。内装では、オリジナルに見えるフロントパネルが、実は軽量なFRP製に交換されている。また、スパルタンなイメージが崩れるのを嫌い、オーディオのスピーカーは、ダッシュの下などすべて見えない場所に取り付けられている。

「今後の課題は、ボディや駆動系、ブレーキ系を、このエンジンに見合う性能に高めること。そこそこやってはいますが、まだまだ役不足ですわ」

 1トン余りの車体に、今もトヨタ最強といわれる2JZ型のビッグタービンフルチューンを搭載したハコスカ。まだまだ課題は多いが、その分、調教しがいも大きいモンスターだ。


>> 【画像37枚】エンジンの換装に合わせて、Sタイヤからハイグリップラジアルにチェンジされたタイヤなど。ボディにかかるストレスを考慮し、あえて初期のグリップ力を下げている。ホイールはRSワタナベのフロント16×8.5J、リア16×9.5Jを装着

text : ISAO KATSUMORI(ZOO)/勝森勇夫(ズー) photo : RYOTA-RAW SHIMIZU(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックス ブックス)

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