「この手で組んだエンジンだけは手放すことができず、手元に残しておいたんですわ」手塩にかけた2JZ型エンジンを再び・・・【3】1971年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-X

しばらくドラッグシーンを離れていたが、業界では名の知れた凄腕ドラッガー。オーナーの腕をもってしてもこのモンスターは乗りこなすのが大変そうだ

       
3.0L直列6気筒DOHC。2JZ型は、トヨタが誇る最強エンジンの一つ。群を抜く耐久性は、製造中止から10数年が経過した今もチューニングベースとして人気絶大だ。このハコスカの心臓は、そんな2JZの最高峰チューンド。ブースト1.0kg/㎠で500ps超え、1.5kg/㎠で700psオーバーの世界へ。1トンほどの車重にこのパワー、加速感は想像を絶する。

【1971年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-X Vol.3】

【2】から続く

 その後、ヘッドも2JZ型に変更し、このエンジンと20ソアラのコンビで最終的にマークしたタイムは10秒8。当時のタイヤの性能や、プライベーターであることを考えれば、驚異的なタイムだ。ただし、有り余るパワーによってたびたびミッションをブローさせてしまうため、軍資金に悩まされたのも事実。そして、ソアラでドラッグをはじめて10年が過ぎるころ、結婚を機にオーナーはドラッグレースの世界からすんなり身を引いた。

「年齢が30代前半に入ったし、そろそろ落ち着かないとアカンかなと(笑)。やれるだけやったし、ドラッグへの未練はなかったです。ただ、この手で組んだエンジンだけは手放すことができず、手元に残しておいたんですわ」

 そのストックしておいたエンジンこそが、このハコスカのエンジンルームに収まっているモンスターユニットそのもの。20ソアラから降ろして10年は経つが、手塩にかけた2JZ型が再び目を覚ましたのだ。

 トヨタのエンジンを日産のハコスカに載せる作業は、互換性がほとんどない。そのため、さすがに今回のスワップはその道のプロに任せた。依頼先は「ディバージョン」。ドリフトやドラッグレースの競技者が多く集まり、JZ型のスワップチューンにも定評があるプロショップだ。ハコスカへの搭載を機に、排気量は3Lから3.4Lにキャパシティーアップ。ヘッドまわりもビッグバルブ化するなど、数々のアップデートが施された。


>> 【画像37枚】デフはニスモのR200。ファイナルは3.9、高速志向のハイギアードセッティングとなっている

text : ISAO KATSUMORI(ZOO)/勝森勇夫(ズー) photo : RYOTA-RAW SHIMIZU(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックス ブックス)

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