ミラーも窓も「ハンドパワー」! 10カ月しか販売されなかったレアグレード|トヨタ チェイサー GTツインターボS【2】

GTツインターボにはトランクに開閉式のキーオーナメントが付くが、ターボSでは未装着。ちなみにリアスポイラーは純正オプション品

【1】から続く

マークⅡやクレスタとは異なるターゲットを狙ったチェイサー。そのチェイサーだけに存在するグレードがあり、それが本記事で紹介しているGTツインターボSである。このモデルは走りだけに特化したGTツインターボの廉価版である。今回は具体的にどこを簡素化したか紹介する。

【我が名はGX71 トヨタ チェイサー GTツインターボ S vol.2】

 まずエクステリアは、フェンダーマーカーとトランクキーシリンダーオーナメントが省かれ、電動格納式ドアミラーも廃止されている。一方インテリアでは、パワーウインドーが手動式になり、電磁ドアロックもなし。さらにメーターがデジタルではなくアナログに変更され、ヘッドライトを自動で点灯/消灯するコンライトも未装備だ。加えて、マニュアルエアコンさえもオプション扱いとなっており、標準ではヒーターのみ。オーディオも基本はレス仕様で、2スピーカーのAM/FMラジオがオプションで設定されているだけなのだ。これら装備の簡略化を見ると、当時のハイソカーとしてはじつに質素な装備。それだけ、走りに重点を置いたグレードということ。

 ちなみに、これだけ装備を省いてもカタログ上での車両重量は、GTツインターボもターボSも一緒。とはいえ、厳密には10kg程度の軽量化にはなっているはず。なお、ミッションはGTツインターボでは5速MTと4速ATが選べたが、ターボSは5速MTのみ。こういったことからも、完全に走りを意識したグレードということが感じ取れるはずだ。

 ただしターボSは、86年8月のマイナーチェンジ時に消滅。つまり、10カ月しか販売されなかったのである。そして販売期間の短さと、ハイソカーらしからぬ質素な装備からか登録台数が非常に少ないため、現存していること自体が非常に珍しいのである。

【画像17枚】ステアリングやインパネなど。廉価版ということもあっていろいろコストカットされたインテリアになっている。GTツインターボやアバンテ系の場合、エアコンやオーディオを操作するスイッチだが、ターボSでは時計となるメータークラスター左側。さらにターボSではリアウインドーももちろん手動式。そのためレギュレーターハンドルが付き、アームレスト形状も変わるので、灰皿はドアノブ横に設置される



>>装備の簡素化が図られたターボSは、ドアミラーの格納も電動ではなく手動。そしてパワーウインドーも省かれている。





>>国産量産車初のツインターボシステムを採用した1G-GT型。中央にあるのは水冷式インタークーラーで、高温の吸入気を冷却して充填効率を高め、パワーアップにつなげる。


チェイサー GTツインターボS(GX71)

全長×全幅×全高(mm) 4630×1690×1385
ホイールベース(mm) 2660
トレッド前/後(mm) 1440/1455
車両重量(kg) 1320
エンジン型式 1G-GTEU型
エンジン種類 直列6気筒DOHCツインターボ
総排気量(cc) 1988
ボア×ストローク(mm) 75.0×75.0
圧縮比 8.5:1
最高出力(ps/rpm) 185/6200
最大トルク(kg-m/rpm) 24.0/3200
変速比 1速3.285/2速1.894/3速1.275/4速1.000/5速0.783/後退3.768
最終減速比 4.300
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション前/後 ストラット/セミトレーリングアーム
ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ 205/60R15(前後とも)
発売当時価格 243.3万円


【3】へ続く

初出:ハチマルヒーロー 2017年3月号 Vol.40
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1986年式 トヨタ チェイサー GTツインターボ S(全3記事)

関連記事:我が名はGX71

関連記事:トヨタ

RECOMMENDED

RELATED

RANKING