整備されたクルマであれば、現代でも充分スポーツ走行が楽しめるが判断が難しい|1965年式 ホンダS600【3】風と共に

シンプルなコクピット。タコメーターのレッドゾーンを見ると11000rpmの高回転域まで目盛りが刻まれているのが分かる

【1】【2】から続く


前回の記事では、ホンダS600のスペックを紹介した。水冷直列4気筒DOHCに4連キャブレターを組み込んだエンジンシステムは軽快な走りを提供してくれる。それだけでなく、車体をよく観察すると細かく見ると、隅々までスペースを有効活用している巧みな設計がなされている。

【軽快に回るエンジンにホンダを感じて 1965年式 ホンダS600 vol.3】

 リアを下から眺めると、タイヤの内側にアルミのブロックが接合されている。これが、リアのチェーン駆動システムだ。リアアクスル、デフなど、本来クルマのリアタイヤの間にある機構がない。おかげで、ガソリンタンクを前方に設置でき、トランクルームのスペースを確保することに貢献している。  
 
 しっかりと整備されたクルマであれば、それほどシビアにならなくとも、スポーツ走行を楽しめるホンダSシリーズ。しかし、この整備がされているか否かの判断が難しい。今回の個体はガレージイワサによってレストアされた。  
 
 電気のスイッチを入れるがごとく始動するエンジン。アクセルワークに合わせて、気持ちよく吹け上がるエンジン。リアから聞こえてくる軽快なサウンド。どれをとっても心地よいドライビングフィールを提供してくれる。  
 
 フロントフード、トランクリッドなど、オリジナルのパーツを組み込み、ドアの開閉もスムーズだ。ストレスを感じることのない仕上がりになっている。現代によみがえったS600。その魅力を存分に味わえるクルマであった。

【画像13枚】2輪の技術を4輪でも活用したエンジンは、どこかバイクを走っているような不思議な感覚にしてくれるS600。その魅力は走りだけでなく、真っ赤のボディでもある



>>ホイールはRSワタナベを履く。ホンダSシリーズとは相性のいいデザイン。



>>リアを駆動させるためのチェーン機構が見える。トランクルームなどのスペースを確保するのに貢献している。





SHOP INFO/専門店としての確かな技術で完成させる一台

ガレージイワサ(埼玉県)
長年、Sシリーズのメンテナンスを手がけてきたガレージイワサ。独自のノウハウを生かして、過去の名車を正しい姿によみがえらせる。走りもさることながら、そのたたずまい、すべてがオーナーの心を満たしてくれるクルマ作りは、多くのユーザーから支持を得ている。オリジナルパーツも多数製造し、Sシリーズのパイオニア的存在。







1965年式 ホンダS600

全長 3300mm
全幅 1430mm
全高 1200mm
ホイールベース 2000mm
トレッド前/後 1150/1128mm
最低地上高 160mm
室内長 840mm
室内幅 1195mm
室内高 935mm
車内重量 720kg
乗車定員 2名
最高速度 145km/h
登坂能力 sinθ 0.33
最小回転半径 4.3m
エンジン形式 AS285 E型
エンジン種類 水冷直列4気筒DOHC
総排気量 606cc
ボア×ストローク 54.5×65.0mm
圧縮比 9.5:1
最高出力 57ps/8500rpm
最高トルク 5.2kg-m/5500rpm
トランスミッション型式 前進4段 後退1段 2速以上シンクロメッシュ
変速比 1速3.290/2速2.190/3速1.430/4速1.091/後退3.89
最終減速比 5.88
燃料タンク容量 25L
ステアリング形式 ラックアンドピニオン(15.1)
サスペンション 前/後 ダブルウイッシュボーン・トーションバー/トレーリングアーム・コイル
ブレーキ 前後ともリーディングトレーリング
タイヤ 前後とも5.20-13-4PR
発売当時価格 50.9万円



【1】【2】から続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2019年10月号 Vol.195

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1965年式 ホンダS600(全3記事)

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