「俗に言うたらい回し、柳に風、暖簾に腕押し、糠にくぎ・・・」当時の運輸省との折衝【4】1979年式 童夢 P-2

シャシーは零で使用したスチール・モノコックからP-2では鋼管スペースフレームに変更された

       
【 1979年式 童夢 P-2 Vol.4】

【3】から続く

 もちろん童夢零は市販車として開発されたもの。しかし当時の運輸省(現国土交通省)は閉鎖的で、新しいクルマメーカーを受け入れることなど一切ない排他的な省庁。その時のことを林みのるさんは次のように語っている。

「一年余り、車両認定に関して運輸省との交渉が続きましたが、それは交渉なんてレベルの問題ではなく、俗に言うたらい回し、柳に風、暖簾に腕押し、糠にくぎ、時おりハリネズミのような威嚇も交えて、健全な精神の持ち主なら気が狂ってもおかしくないほどの狂気の世界で、こんな人たちを相手の努力なんて何の価値もないと国内での認定を諦めました」

 日本での認定を諦めた童夢は、米国での認可を得るべく、童夢零の米国認可仕様バージョンを製作。それが今回紹介するP‐2。最初に作られたのはライムグリーンのP‐2で、2018年のノスタルジック2デイスの会場に展示された赤のボディカラーのP‐2は童夢零の3号機とでもいうべきもの。

>> 【画像26枚】零ではたびたびオーバーヒートしたため、P-2には大容量のラジエーターがおごられ、2基の電動ファンを追加されたパワーユニットなど、童夢 P-2のディテールの数々



>> 純国産エンジン搭載という大名目から選ばれた日産製L28型水冷直列6気筒SOHCの2.8Lエンジン。





>> キャブレターはソレックス・ツインチョークφ44mmを3基装着。エンジンは当時の最高のエンジンということで、L28型が選ばれたということだ。



【5】に続く


1979年式 童夢 P-2


Specification 諸元
全長:4235mm
全幅:1775mm
全高:990mm
ホイールベース:2450mm
トレッド前後:1445/1505mm
最低地上高:130mm
車両重量:950kg
シャーシー:スチール・チューブ・フレーム
ボディ:FRPセミモノコック
エンジン種類:水冷直列6気筒SOHC
エンジン形式:L28型
総排気量:2753cc
最高出力:145ps
サスペンション:前後ともダブル・ウイッシュボーン・コイル
ミッション:ZF-5DS-25/2
ステアリング形式:ラック&ピニオン
ブレーキ前後:ベンチレーテッド・ディスク/ソリッド・ディスク
タイヤ:前185/60HR13 後225/60HR14



初出:ノスタルジックヒーロー 2018年6月号 vol.187
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1979年式 童夢 P-2(全3記事)

関連記事:童夢 P-2

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【1】【2】【3】から続く

text:NOSTALGIC HERO/編集部、AKIHIKO OUCHI/大内明彦 photo:ISAO YATSUI/谷井 功

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