世に出ることのなかったジャパンプレミアムカー【1】1979年式 童夢 P-2

キャビンがボディの中に埋め込まれているようなキャノピールック。零よりひとまわり大きくなった印象。米国基準に合わせた張り出しの大きいバンパーがP-2の特徴

       
特別な、あまりに特別な国産スーパーカー、童夢零。
その市販化は果たせず、舞台を米国に変えて認可を取るべく開発されたP-2。
しかしこのP-2にもまったく別の角度から邪魔が入り、不幸な生涯をとげる。
そんな童夢零、童夢P-2にまつわる物語を語ろう。

【 1979年式 童夢 P-2 Vol.1】

 欧州と同じように日本も小さなカロッツェリアが数多く乱立してもおかしくはなかった。それほど魅惑的な試作車が数多く登場した。その中でも多くの人の心に残り、今なお人気が高いのは、間違いなく「童夢零」であろう。
 童夢のプロジェクトがスタートしたのは1975年。くしくも漫画「サーキットの狼」の連載開始と同じ。すでにスーパーカーブームが到来していた日本(「サーキットの狼」の作者である池沢早人師さんは連載開始時にブームはすでに到来しており、漫画の連載がきっかけであることを否定している)で、国産のスーパーカーの登場が望まれていた時期だ。このとき設立した株式会社童夢の最初のモデルとして発表されたのが零。もともとが会社設立の打ち上げ花火のようなクルマだったこともあり、インパクト重視で設計したと童夢創業者の林みのるさんは語っている。


>> 【画像26枚】純国産エンジン搭載という大名目から選ばれた日産製L28型水冷直列6気筒SOHCの2.8Lエンジンなど、童夢 P-2のディテールの数々



>> 飛行機や新幹線を思わせるフロントガラス。スーパーカーらしくワイパーは1本。






>> ボンネットにもインテークが設けられ、内部の熱問題を解決している。このあたりはレース系技術者集団であった童夢ならでは。






>> スーパーカーの代名詞であったリトラクタブルヘッドライトを装備。零と比較し、縦方向に大きくなっている。その分、ウインカーランプは小さくなっている。



【2】に続く

1979年式 童夢 P-2


Specification 諸元
全長:4235mm
全幅:1775mm
全高:990mm
ホイールベース:2450mm
トレッド前後:1445/1505mm
最低地上高:130mm
車両重量:950kg
シャーシー:スチール・チューブ・フレーム
ボディ:FRPセミモノコック
エンジン種類:水冷直列6気筒SOHC
エンジン形式:L28型
総排気量:2753cc
最高出力:145ps
サスペンション:前後ともダブル・ウイッシュボーン・コイル
ミッション:ZF-5DS-25/2
ステアリング形式:ラック&ピニオン
ブレーキ前後:ベンチレーテッド・ディスク/ソリッド・ディスク
タイヤ:前185/60HR13 後225/60HR14




初出:ノスタルジックヒーロー 2018年6月号 vol.187
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1979年式 童夢 P-2(全3記事)

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text:NOSTALGIC HERO/編集部、AKIHIKO OUCHI/大内明彦 photo:ISAO YATSUI/谷井 功

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