空冷エンジンの楽しみ方【ヨタハチ 2】970cc+フルチューン+FCR41、2U型エンジンの限界にチャレンジ!|1969年式 トヨタ スポーツ 800

オートバイのように、ヘッド、シリンダー、クランクケースと3分割構造の2U型エンジン。バルブはバイクから、シリンダーはポルシェ用と他車種パーツを組み合わせて排気量をアップ

       
大型バイクとほぼ同じエンジン構造と排気量で、今となっては軽自動車に毛が生えた程度と思われてしまうヨタハチ。
衝突安全性が重視される今では決して考えられない580kgという驚異の車重は、空冷エンジン&コンパクトボディならでは。
今となっては純正パーツはおろか、専用のチューニングパーツを見付けるのはほぼ不可能に近い状況だがトヨタ車だけに止まらず、さまざまなアイテムを流用することで、そのスポーツ性能をさらに磨き上げることに成功。
独自の理論やアイデア満載のモディファイによって、ヨタハチ最速の座を狙う!

【1969年式 トヨタ スポーツ 800 Vol.2】

【1】から続く

 ただし、外装こそ美しかったものの、中身は何とか走れるというレベル。そのため、走行中に突然エンジンからガラガラと異音が発生。自分で調べてみたが原因が分からず、家からそう遠くない場所に、パブリカなどのトヨタ車が得意な「吉良自動車」があり、吉良和彦代表に診てもらったところ、キャブレターからエンジン内部にワッシャーが吸い込まれていることが判明した。

「ピストンやシリンダーは、ワッシャーが当たってキズだらけでした。そこで、どうせオーバーホールするのなら、日本一速いヨタハチを目指してやろうと思ったわけです」とオーナー。

 L型などと違い、ヨタハチに搭載される2U型エンジンは、ヘッド/シリンダー/クランクケースの3ピース構造で、バイクのエンジンとほぼ同じ。しかも、排気量も790ccと大型バイク程度で、プライベートでもイジりやすいエンジンだ。オーナー自身、もともとダートラマシンの製作を手伝っていた経験もあり、吉良さんと相談の結果、ピンハイトの短いオリジナルのφ92mmアルミピストンに、ピストンの首振りを防止するためにピン間距離を長く取ったオリジナルコンロッドを使うことに決定。クランクシャフトはノーマルをバランス取り加工し、ノーマルストロークながら、790ccから970ccへと排気量アップ実現した。

>>【画像26枚】 大きくカーブを描いたヨタハチ特有のダッシュボードから、まるで飛行機のコクピットにいるかのような錯覚を覚える車内。ユニークなおろし金を流用したフットレストなど




>> FCR41キャブレターをダウンドラフトにマウント。メイン180、アイドル55、ニードルにはEMUの3段、加速ポンプにはBoyesen quickshot3を2基使用。ブロンズカラーのアルミステーはバイクから流用。





>> メッキのコイルがかっこいいPertronixのMR-LSIを使用。ポイントレス点火に。





>> エキゾーストマニホールドと同じく、吉良自動車で製作されたマフラーは、シンプルな機能美とスポーツカーらしいサウンドを実現。






1969年式 トヨタ スポーツ 800(UP15)


SPECIFICATION 諸元
エクステリア:オールペイント(ベージュ系) 
エンジン: 2U型改970cc仕様(ボアφ92mm×ストローク73mm、圧縮比9.0)、JUN製カム、ビッグバルブ(INφ41mm / EXφ36mm、ステム径φ6 / 7mm)、バルブスプリング(ダブルからシングル:KP用強化)、ホンダVTR1000F用リテーナー&コッター、CP製φ92mmワンオフピストン 
吸気系:KEIHIN FCR 41(メイン180、アイドル55、ニードルEMU3段目 / ELU3段目、加速 ポンプBoyesen quickshit3調整式2個)、ホンダVTR1000用キット 
排気系:吉良自動車製等長ステンレスマフラー 
点火系:pertronix製MR-LS1(ポイントレス)、ICオルタネーター 
冷却系:オイルクーラー(外付けオイルポンプ強制循環式) 
燃料系:電磁式燃料ポンプ 
駆動系:リングギア&サイドベアリング変更(ファイナル3.3)、アクスルハウジング加工(油量アップ、バッフルプレート装着) 
サスペンション:(F)カヤバ製8段調整式ショック (R)カヤバ製8段調整式ショック、パブリカセダン用リーフ、トルクロッド追加、スタビライザー(φ17mm)追加、F / Rともポリアセタール&硬質ウレタン製ブッシュ
ブレーキ:(F)吉良自動車製ディスクブレーキキット
インテリア:ナルディ製ウッドステアリング、シンプソン製5点式ハーネス、ヘッドレスト追加、吉良自動車製4点式ロールケージ
タイヤ:ヨコハマ アドバン ネオバ155 / 70R13
ホイール:カンパニョーロ マグ 13×5J(PCD110に変更)


【3】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2018年11月号 vol.018
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1969年式 トヨタ スポーツ 800(全4記事)

関連記事:空冷エンジンの楽しみ方

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【1】から続く

text : SHINYA KUSHIURA/串浦愼哉 photo : RYOTA-RAW SHIMIZU(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックス ブックス)

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