空冷エンジンの楽しみ方【ヨタハチ 1】ハタチの頃、中古車屋さんに手付けを打たなかったため、誰かに買われてしまいました|1969年式 トヨタ スポーツ 800

スポーツカーの醍醐味は決してパワーではない、人馬一体を全身で感じる最高のスポーツマシン

       
大型バイクとほぼ同じエンジン構造と排気量で、今となっては軽自動車に毛が生えた程度と思われてしまうヨタハチ。
衝突安全性が重視される今では決して考えられない580kgという驚異の車重は、空冷エンジン&コンパクトボディならでは。
今となっては純正パーツはおろか、専用のチューニングパーツを見付けるのはほぼ不可能に近い状況だがトヨタ車だけに止まらず、さまざまなアイテムを流用することで、そのスポーツ性能をさらに磨き上げることに成功。
独自の理論やアイデア満載のモディファイによって、ヨタハチ最速の座を狙う!

【1969年式 トヨタ スポーツ 800 Vol.1】

 わずか580kgという今では考えられない車重や空力特性に優れたフォルムに、パブリカゆずりの非力な790cc空冷水平対向2気筒エンジンながら、かつてはレースでも活躍したトヨタ・スポーツ800。伝説のレーサー浮谷東次郎もこのヨタハチで、ホンダS600を駆る生沢徹とデッドヒート繰り広げ、見事勝利したレースは今なお語り草となっている。今回紹介するオーナーも、そんなヨタハチの魅力にすっかりハマったひとりだ。
「20歳の頃に、ヨタハチを購入する寸前までいったんです。でも、その中古車屋さんに手付けを打たなかったため、誰かに買われてしまいました」とオーナー。以来、ヨタハチとは縁がなかったのかと半ばあきらめていたそうだが、取材の3年前に現在のヨタハチと出合い、念願のオーナーとなった。

>>【画像26枚】足下に装着される、貴重なカンパニョーロのマグネシウムホイール(13×5J)など。バネ下重量を軽減し、運動性能を高める



>> 大きくカーブを描いたヨタハチ特有のダッシュボードから、まるで飛行機のコクピットにいるかのような錯覚を覚える車内。おろし金を流用したフットレストがユニーク。





>> 追加メーターに加えナビやオーディオなど、年式は古くても使い勝手は遜色なし!





>> 4点式ロールバーは吉良自動車製。そこにヘッドレストを装着し安全性と快適性を両立。また運転席には5点式シートベルトを追加。


1969年式 トヨタ スポーツ 800(UP15)

SPECIFICATION 諸元
エクステリア:オールペイント(ベージュ系) 
エンジン: 2U型改970cc仕様(ボアφ92mm×ストローク73mm、圧縮比9.0)、JUN製カム、ビッグバルブ(INφ41mm / EXφ36mm、ステム径φ6 / 7mm)、バルブスプリング(ダブルからシングル:KP用強化)、ホンダVTR1000F用リテーナー&コッター、CP製φ92mmワンオフピストン 
吸気系:KEIHIN FCR 41(メイン180、アイドル55、ニードルEMU3段目 / ELU3段目、加速 ポンプBoyesen quickshit3調整式2個)、ホンダVTR1000用キット 
排気系:吉良自動車製等長ステンレスマフラー 
点火系:pertronix製MR-LS1(ポイントレス)、ICオルタネーター 
冷却系:オイルクーラー(外付けオイルポンプ強制循環式) 
燃料系:電磁式燃料ポンプ 
駆動系:リングギア&サイドベアリング変更(ファイナル3.3)、アクスルハウジング加工(油量アップ、バッフルプレート装着) 
サスペンション:(F)カヤバ製8段調整式ショック (R)カヤバ製8段調整式ショック、パブリカセダン用リーフ、トルクロッド追加、スタビライザー(φ17mm)追加、F / Rともポリアセタール&硬質ウレタン製ブッシュ
ブレーキ:(F)吉良自動車製ディスクブレーキキット
インテリア:ナルディ製ウッドステアリング、シンプソン製5点式ハーネス、ヘッドレスト追加、吉良自動車製4点式ロールケージ
タイヤ:ヨコハマ アドバン ネオバ155 / 70R13
ホイール:カンパニョーロ マグ 13×5J(PCD110に変更)




【2】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2018年11月号 vol.018
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1969年式 トヨタ スポーツ 800(全4記事)

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text : SHINYA KUSHIURA/串浦愼哉 photo : RYOTA-RAW SHIMIZU(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックス ブックス)

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