空冷エンジンの楽しみ方【ヨタハチ 4】六甲山のワインディングで煮詰めたというサスペンション|1969年式 トヨタ スポーツ 800

スポーツカーの醍醐味は決してパワーではない、人馬一体を全身で感じる最高のスポーツマシン

       
大型バイクとほぼ同じエンジン構造と排気量で、今となっては軽自動車に毛が生えた程度と思われてしまうヨタハチ。
衝突安全性が重視される今では決して考えられない580kgという驚異の車重は、空冷エンジン&コンパクトボディならでは。
今となっては純正パーツはおろか、専用のチューニングパーツを見付けるのはほぼ不可能に近い状況だがトヨタ車だけに止まらず、さまざまなアイテムを流用することで、そのスポーツ性能をさらに磨き上げることに成功。
独自の理論やアイデア満載のモディファイによって、ヨタハチ最速の座を狙う!

【1969年式 トヨタ スポーツ 800 Vol.4】

【3】から続く

 自宅近くの六甲山のワインディングで煮詰めたというサスペンションは、ショックアブソーバーはカヤバのクラシックミニ用、パブリカセダン用リーフの流用やスタビライザーの追加、自作強化ブッシュを組み込むことで、ライトウエイトスポーツらしい、キビキビとしたハンドリングを実現した。

 ハコスカやS30ZなどのL型チューンと比べると、控えめなパワーに思えるが、高回転まで一気に吹け上がる軽快なレスポンスは小排気量エンジンならでは。こだわりのサスペンションとともに、スポーツカーの原点ともいえる、操る楽しさが存分に味わえるマシンに仕上がっている。


>>【画像26枚】吉良自動車オリジナルキットでディスクブレーキ化されたフロントブレーキなど。抜群の利きとコントロール性に大満足だとか

OWNER’s VOICE



>> 試行錯誤の結果、海外より個人輸入したQSC製の軽量アルミシリンダーは、本来ポルシェの4気筒用を、2U型に流用。ホンダのVTR1000Fから流用したバルブやバルブスプリング、コッター&リテーナーは、1セット当たり純正の168gから、116gに軽量化でき、エンジンレスポンスが大幅に向上。ポイントレス化のため、デスビ内部も自作加工。


1969年式 トヨタ スポーツ 800(UP15)


SPECIFICATION 諸元
エクステリア:オールペイント(ベージュ系) 
エンジン: 2U型改970cc仕様(ボアφ92mm×ストローク73mm、圧縮比9.0)、JUN製カム、ビッグバルブ(INφ41mm / EXφ36mm、ステム径φ6 / 7mm)、バルブスプリング(ダブルからシングル:KP用強化)、ホンダVTR1000F用リテーナー&コッター、CP製φ92mmワンオフピストン 
吸気系:KEIHIN FCR 41(メイン180、アイドル55、ニードルEMU3段目 / ELU3段目、加速 ポンプBoyesen quickshit3調整式2個)、ホンダVTR1000用キット 
排気系:吉良自動車製等長ステンレスマフラー 
点火系:pertronix製MR-LS1(ポイントレス)、ICオルタネーター 
冷却系:オイルクーラー(外付けオイルポンプ強制循環式) 
燃料系:電磁式燃料ポンプ 
駆動系:リングギア&サイドベアリング変更(ファイナル3.3)、アクスルハウジング加工(油量アップ、バッフルプレート装着) 
サスペンション:(F)カヤバ製8段調整式ショック (R)カヤバ製8段調整式ショック、パブリカセダン用リーフ、トルクロッド追加、スタビライザー(φ17mm)追加、F / Rともポリアセタール&硬質ウレタン製ブッシュ
ブレーキ:(F)吉良自動車製ディスクブレーキキット
インテリア:ナルディ製ウッドステアリング、シンプソン製5点式ハーネス、ヘッドレスト追加、吉良自動車製4点式ロールケージ
タイヤ:ヨコハマ アドバン ネオバ155 / 70R13
ホイール:カンパニョーロ マグ 13×5J(PCD110に変更)




初出:ノスタルジックスピード 2018年11月号 vol.018
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1969年式 トヨタ スポーツ 800(全4記事)

関連記事:空冷エンジンの楽しみ方

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【1】【2】【3】から続く

text : SHINYA KUSHIURA/串浦愼哉 photo : RYOTA-RAW SHIMIZU(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックス ブックス)

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