純正のT50ミッションのギア類はほぼ製造廃止! 「ハチロク」の6速ミッションを組み合わせる|1987年式 トヨタ カローラ レビン GTV Vol.3

リアフェンダーもブリスターフェンダー化に加え、10Jのリムがもたらす超ディープ感は迫力満点。ボディぎりぎりまでワイドトレッド化された現行ハチロクでは決して不可能な、80年代FR車ならではの硬派なスタイルだ。

       
ほぼノーマル状態で手に入れたハチロクをボディからフルレストア。20バルブ4A-G型のスワップに、現行ハチロク用6速ミッションを投入。ハチロクの弱点を見事に克服するとともに、より長くその性能を楽しめるカスタムを施す。さらにハチロクならではの操る楽しさをとことん追求したこのレビン。ハチロクの時代はまだまだ終わらない、はっきりとそう思わせるトータルバランスに優れたチューンナップに迫ってみる。

【1987年式 トヨタ カローラ レビン GTV Vol.3】

【2】から続く

 またこのハチロクには、現行ハチロク(取材当時 初代トヨタ・86)の6速ミッションがスワップされているのもポイント。純正のT50ミッションは、シンクロこそかろうじて新品を取り寄せることが可能だが、ギア類はほぼ製造廃止。さらにアフターパーツとして販売されるT50用のクロスミッションは、シフトパターンが変わってしまうものもある。そこで考え出されたのが、アルテッツァ用か現行ハチロク用6速ミッションのスワップというわけだ。確かにギアが1速増えた分、約10kg重くなり、フロアパネルの加工も必要。

 とはいえ、当然ながら、すべてのパーツをトヨタから新品で購入することが可能だ。さらに現行ハチロクのミッションをクロスギアレシオに変えるパーツが、各メーカーからリリースされいるのもミッションスワップのメリットといえる。ガレージ ワタナベでは、このミッションスワップに必要となるパーツをキット化。うまく中古ミッションが手に入れば、約30万円で6速ミッション化が可能。T50型ミッションのフルオーバーホールが、約15万〜20万円ということを考えれば、決して高くない価格設定もうれしい。

 すでにチューニング派と保存派に二分しているハチロク。しかし、ガレージワタナベが提案するミッションスワップは、今後も長くハチロクを楽しむうえで、どちらのオーナーにも一考の価値のあるメニューといえる。




ナルディクラシックのステアリングに延長ボスとハチロクの定番アイテムでカスタムされたインテリア。フロアのアンダーコート剥がしにカーペットの除去といった地道な軽量化もしっかりと行われる。


>>【画像32枚】ブラッドのブリスターキットでワイド化されたフロントフェンダー。そこに収まるワークのエクイップ40は、何とリアと同じ15×10J-28。足下に立体感とボリューム感を与える。限定でリリースされたエクイップイエローのカラーが使われたセンターオーナメントなど




オーディオがあった場所に設置された追加メーター。油温と油圧はDefiのデジタルメーター。その横のアナログメーターは水温計として使用している。




シフトレバー位置が変わるため、フロアパネルの加工も必要。変更後すぐは違和感があるかもしれないが、じきに慣れるはず。また、6速化はスポーツ走行のみならず燃費の面でも恩恵は大きい。




残念ながら今では絶版となってしまったフリーダム製コンピューター。学習機能を持ち、プライベートでも扱いやすかったことから、かつてはハチロクの定番ECUだった。

OWNER



大阪府岸和田市にある「Garage ワタナベ」の代表でもあり、20年以上ハチロクを乗り続けている生粋のハチロクマニアである渡邉さん。さらに現在もこのレビンのほかに、本物のN2マシンなど5台ものハチロクを所有している。まさにハチロクのすべてを知りつくしているエキスパートだ。



1987年式 トヨタ カローラ レビン GTV(AE86)
●エクステリア:Jブラッド製フルエアロ/カーボンボンネット/ブリスターフェンダー、
ボディスポット増し、オリジナルグレーオールペイント
●エンジン:4A-G型改(AE111用20バルブ)、
小泉商会製鍛造φ81.5mmピストン/エキスパートオーゼット製H断面コンロッド、
 戸田レーシング製ハイカム(304度)/カムスプロケット、TRD製バルブスプリング
●点火系:AE92用同時点火システム ●吸気系:AE111用4連スロットル
●制御系:フリーダム製ECU ●燃料計:強化燃料ポンプ
●排気系:シルクロード製タコ足、ワンオフマフラー
●冷却系:3層アルミラジエーター、トラスト製オイルクーラー
●駆動系:ORC製309Dクラッチ(ディスクZN6速用、カバー&フライホイールAE86用)、
純正6速ミッション(ZN6:ベルハウジング加工)、ボディ&プロペラシャフト加工、
TRD製LSD(ファイナル4.778)
●足回り:エンドレスジール製車高調、クスコ製ピロテンションロッド、ピロアッパーマウント、
ARC製スタビ/ピロロワアーム
●ブレーキ:(F)ウィルウッド製4ポットキャリパーキット
●タイヤ:フェデラルRSR 195/50R15
●ホイール:ワーク エクイップ40 15×10J -28
●内装:レカロ製バケットシート(RS-G)、日本精機Defiディスプレー


初出:ノスタルジックスピード 2018年8月 vol.017
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1987年式 トヨタ カローラ レビン GTV(全3記事)

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【1】【2】から続く

text : SHINYA KUSHIURA/串浦愼哉 photo : RYOTA-RAW SHIMIZU(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックス ブックス)

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