ソアラ vs レパード。そしてライバルたちの出現。スペシャリティーカー旋風の90年代|栄華を極めて一時代を築いた両雄 Vol.2

ソアラとレパード。そしてライバルたち。

       
センセーショナルなデビューを果たしたソアラと日産が技術の粋を尽くして開発したレパード。
両車は互いを強く意識するとともに高めあい、80年代の10年間をともに駆け抜けていった。
しかし両雄は最終的に別の道を選んだのだった。

【栄華を極めて一時代を築いた両雄 Vol.2】

【1】から続く

 1986年、レパードとソアラは相次いでモデルチェンジを敢行。1月にソアラが2代目のZ20に、2月にレパードも第2世代のF31へ移行した。大ヒットしたソアラは、エレガントなスタイルと高度なメカニズムを正常進化させ、技術に磨きをかけている。3Lターボと2Lツインターボはライバルを圧倒するパンチ力を秘め、電子制御エアサスペンションという新テクノロジーも搭載していた。Z20は攻めの姿勢を貫いて王者の座を死守。このソアラで培った高度な技術力が1989年にセルシオを生み、世界的な成功へと導いている。

 ライバルのF31レパードはソアラとの真っ向勝負を選び、趣味性の強い2ドアハードトップだけに絞った。上質と優雅さを前面に押し出し、エンジンは新鋭のV型6気筒を搭載。3LDOHCや2Lターボを主役に据えた。テレビドラマの「あぶない刑事」でF31が使われたこともあって多くのファンを獲得したが、ソアラを玉座から引きずり下ろすには至らなかった。

 また、バブルの好景気の波に乗って、ほかのライバルも出現。ホンダがV型6気筒エンジンのレジェンドに2ドアハードトップを設定したほか、マツダは3ローターエンジンのユーノスコスモをリリース。スバルからは最上級グランドツーリングのアルシオーネSVXが送り込まれ、ソアラを追撃した。

 90年代に入った3代目以降、ソアラとレパードの両車は別の道を歩むこととなる。ソアラはさらなる高みを目指し、4LV型8気筒を搭載したほか、北米ではレクサスブランドのSCとして販売。4代目では電動メタルトップのプレミアム・オープンカーへと昇華した。一方レパードは、スペシャリティーカーの道を断念。3代目にあたるのは北米インフィニティブランドのJ30の日本版となるJフェリー。斬新なスタイルが特徴だが、このモデルで再び4ドア路線へと転向。4代目ではよりオーソドックスな4ドアスタイルとなった。

 このように、80年代を駆け抜けたプレステージ・スペシャリティーカー旋風は、90年代になると収束していく。だが、ここで得られた技術はそれ以降のクルマ造りのときに開花する。

>>【画像13枚】センセーショナルなデビューを果たしたソアラなど



JY32 インフィニティJ30の日本版として導入されたのが、3代目にあたるレパードJフェリー。4ドアのみの設定で、丸みを帯びたデザインが特徴。ポルトローナ・フラウ製本革シートが設定されるなど、ラグジュアリーなキャラクターだ。搭載するエンジンは3LV型6気筒と4.1LV型8気筒の2種。





Z30 直列6気筒エンジンに加え、ソアラ初のV型が搭載された3代目。V型エンジンは4L8気筒の1UZ-FE型で、セルシオにも搭載されたトヨタのフラッグシップエンジン。プレミアム性を一段と高めた。このモデルから北米ではレクサスブランドのレクサスSCの名で販売されることとなる。※写真は北米仕様のレクサスSC。






JY33 車両型式を見ても分かるように、Y33セドリック&グロリアと関連性が強く、主要コンポーネントを共用する4代目。ボディは4ドアハードトップのみとなった。前期はVG型6気筒エンジンが中心だが、後期は新世代直噴エンジンのVQ型6気筒にスイッチした。






Z40 電動格納式ハードトップを備えるオープンカーとなった4代目Z40。このモデルから伝統の直列6気筒エンジンが廃止され、4.3LV型8気筒のみとなった。また、レクサスブランドの日本展開に合わせて、2005年から国内でもレクサスSCとして販売され、24年間のソアラの歴史に幕を閉じた。






HONDA LEGEND 2DOOR HARDTOP ホンダ初のアッパーミドルサルーンとしてデビューしたレジェンド。1987年には、新開発2.7LV型6気筒を搭載する2ドアハードトップが登場。大柄なボディは存在感たっぷりで、高級素材を用いたシートなど、室内の仕立ても贅沢だった。






MAZDA EUNOS COSMO バブル絶頂の1990年に、ユーノスブランドのフラッグシップモデルとして登場。流麗かつ未来的なエクステリアデザインを採用し、エンジンは量産車初の3ローターREを搭載。さらに、世界初のGPSナビゲーションも設定された。





SUBARU ALCYONE SVX 1991年に「本物のグランドツアラー」を目指して開発されたSVX。独創的なデザインはジウジアーロによるもので、エンジンはスバルのお家芸である3.3Lフラット6。これに、電子制御トルクスプリット式のフルタイム4WDをドッキング。



初出:ハチマルヒーロー 2015年 07月号 vol.30
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

栄華を極めて一時代を築いた両雄(全2記事)

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【1】から続く

text : HIDEAKI KATAOKA/片岡英明

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