あらためて振り返った【スポーツセダンの可能性】実用性と快適性に運動性能をプラス 〜2014〜

軽量、ターボパワー、4WDなど多様なキャラクターが揃っていたスポーツセダン

       
走りが楽しいだけでなく、実用性もあるスポーツセダンは、今も昔もボクらをアツくさせてくれる。そして技術が進歩し、好景気に沸いた80年代や90年代のほうが個性が強く、魅力的なモデルも多く存在していたのだ。

【スポーツセダンの可能性】

 スポーツカーの優れた運動性能と、セダンの快適性や実用性を兼ね備えたスポーツセダン。本来セダンというものは、心地よく移動することを目的としたクルマであり、けっして走りを重視したクルマではない。しかし、スポーツカー顔負けのメカニズムや装備によって運動性能が向上したスポーツセダンは、「快適性」と「走り」という相反する要件を見事に両立した、贅沢な1台と言える。

 スポーツセダンといえば、古くは410ブルーバードやT40コロナ、A73ランサーなどがそれにあたるが、なかでもS54スカイラインは別格。というのも、レースのために4気筒が積まれていたシャシーを延長し、グロリア用の6気筒を搭載するという荒技を繰り出したのだから。その結果、第2回日本グランプリでポルシェと伝説のバトルを繰り広げたことは、皆さんもご存知だろう。

 80年代になると、ツインカムやターボエンジンの全盛期に。それに伴い、ハイパワーのスポーツセダンが一気に増加していった。そして80年代後半から90年代にかけては、フルタイム4WDとターボを組み合わせた車種も登場。これらは、後のランサーエボリューションやインプレッサWRXの始祖と呼べる存在だった。また、それまではプレステージ性を重視していた大型セダンにもスポーツモデルが登場し、新たなジャンルを確立していったのだ。

 現在の国産車はクーペが壊滅的な状態。そのため、スポーツライクなセダンが多く存在し、ユーザーからも支持を得ている。このような傾向から、再び80~90年代のスポーツセダンが脚光を浴びる日も近いのではないだろうか。


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コンパクト/軽さを生かした走りは、痛快そのもの

いすゞ ジェミニ/JT150



古くからラリーなどで活躍し、スポーツセダンとしてのイメージも強いジェミニ。2代目ではFFとなったものの、デビュー翌年に1.5Lターボのイルムシャーを発売し、その後は1.6LDOHCのハンドリング・バイ・ロータスも設定。装備を簡略化したコンペモデルもあった。


日産 プリメーラ/P10


1990年にニューカマーとして登場した初代プリメーラ。それまでの国産車にはない、欧州車テイストの足回りが世界で高い評価を受け、英国のBTCCや日本のJTCCといったレースでも活躍。圧倒的な速さはないが、ハンドリングマシンとして今でもファンは多い。


ホンダ シビックフェリオ EG6


5世代目で新設されたフェリオ。流麗なセダンボディはハッチバックに比べると大人びた印象だが、4輪ダブルウイッシュボーンの足回りや当時1.6Lクラス最強のVTECエンジンはハッチバック譲り。パワフルかつ俊敏なフットワークを武器に、レースでも大暴れしていた。



サルーン/ターボパワーの豪快な走りが身上

日産 セドリック/グロリア Y31



高級サルーン初のスポーツセダンと言っても過言ではないのが、Y31で登場したグランツーリスモ。2LV6DOHCターボのパワーと引き締められた足回りで、スポーツカーをも凌駕する走りを実現。グランツーリスモシリーズは大ヒットとなり、Y32以降でもラインナップされることに。


トヨタ アリスト JZS147



1991年にデビューしたアリストは、マジェスタとシャシーを共有するLサイズセダンだ。ジウジアーロが手掛けたデザインを採用し、スープラに先駆けて3Lツインターボの2JZ-GTE型を搭載。4ドアセダンといえどもファッション性は非常に高く、高貴なスポーツセダンと言える。


4WD/競技を視野に入れた、ハイパワー4WD

日産 ブルーバード U12



古くからスポーツセダンとして人気を誇ったブルーバードだが、8代目にあたるU12ではフルタイム4WDターボを投入。4ドアハードトップと4ドアセダンのボディバリエーションを持ち、後者にはモータースポーツベース車両のSSS-Rもラインナップされた。


スバル レガシィ BC5



レオーネに代わる新しいセダンとして1989年に登場したレガシィ。スバル自慢の水平対向エンジンとシンメトリカル4WDの組み合わせにより、ステージを選ばずハイパフォーマンスを発揮。WRCにも参戦し、次のインプレッサへの足がかりを作った。




初出:ハチマルヒーロー 2014年 11月号 vol.27(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

スポーツセダンの可能性

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