オーナーの思いが引き寄せた。ごく短期間のみ生産された希少個体A-S30Z|1975年式 日産 フェアレディZ|Zの名を残すもの

ノーマルフェイスにフォグランプが取り付けられ、より精かんな印象が強調されているフロントマスク

       
次ページ > 2015年、ノスタルジック2デイズに極上でノーマルのフェアレディZが展示されることを知ったオーナーは、すぐに受話器を手にして広島の井原自動車に連絡を入れていた。
何年も探していたクルマが目の前に現れ、その気持を抑えることができなかったのだ。すぐに、現車を確認するため、福岡から広島へと向かい、クルマと対面。仕上がりのすばらしさもさることながら、その風格に圧倒されたという。もちろん、購入を決めるまでは数分と時間はかからなかった。
オーナーが手に入れたクルマはL20型エンジンを搭載した初代フェアレディZの中期にあたるモデル。S30系フェアレディZの系譜のなかで、1969〜73年が前期、1973〜75年が中期、1975〜78年が後期と呼ばれており、過渡期となる中期モデルから後期モデルへ変わろうとした時期に生まれたクルマであった。


>>1975年式 日産 A-S30フェアレディZ
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後期モデルは51年排ガス規制適合車として型式がS31と変更され、インジェクション仕様になっていることは読者んの皆さんはご存じだろう。しかし、中期の終盤に、50年排ガス規制適合したクルマがあり、そのクルマがインジェクションを搭載していたことを知る人は少ないのではないだろうか。ちょうど排ガス浄化システムのNAPSが装着されたタイミングでもある。
今回のクルマを改めて見ると、エンジンルームにあるエアクリーナーボックスの位置がラジエーターの前に配置……

text : HIDEO KOBAYASHI/小林秀雄 photo : ISAO YATSUI/谷井 功 

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