Z432購入後も粘り強く探し続けたオーナー。レースのために誕生した、DOHCエンジン搭載の特別なフェアレディZ|1972年式 日産 フェアレディZ432-R|Zの名を残すもの

       
悲運にもレース車両として短命に終わったZ432‐Rは、在庫処分として1972年になって一部が市販化されることとなった。真偽不明ながら、一説によると23台とも30台ともいわれるナンバー付きのZ432‐Rが、公道へと放出されたと囁かれている。
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そんなZ432‐Rの希少性をリアルタイムで知るのが、この個体を所有するオーナーだ。
オーナーにとってZ432‐Rは長年にわたって所有することを夢見た1台。念願がかなったのは18年春のことだった。
「幸運なことに、かねてからの友人から譲ってもらえる機会を得たのですが、20代の頃からあこがれ続けたZ432‐Rを、現実に所有することができて本当にうれしかったです。私が初めて購入したZは、71年に新車で買ったフェアレディZ‐Lでした。当時は東京日産のディーラーでメンテしてもらっていましたけれど、Z432‐Rの現物を見たことは一度もなかったですね。当時は真似をして『432』のエンブレムを自分のZに付けて楽しむのが精一杯でした(笑)。その頃からいつかは本物に巡り合えることを夢見ていました」 当時をそう振り返るオーナー。

2010年頃から本腰を入れてZ432Rを探し始めたそうだが、先にZ432と巡り合うことができたため、14年に購入。
それでも諦めずにZ432‐Rを辛抱強く探し続けた結果、現在の車両との運命の出合いを果たした。
友人である前オーナーを含めて、3〜4人のオーナーによって所有されてきた経歴を持つ、このZ432‐R。限りなくオリジナルに近い状態を保っており、ボディにレストアが加えられたこともない。ずっと室内保管されていたため紫外線による劣化も少なく、まさに極上という言葉がピッタリなコンディションが保たれている。
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text : HIDEO KOBAYASHI/小林秀雄 photo : ISAO YATSUI/谷井 功 

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