E23は維持するのが難しいため希少。「このクルマが当たり前なので、家族は特別な反応はないですね」とオーナー|1984年式 キャラバンコーチ SLG シルクロード【2】

リアにさまざまなステッカーが貼ってあるオーナーのキャラバン。

【1】から続く

1980年にフルモデルチェンジしたE23。ラインナップは3種類で8人乗りが基本。エンジンは2種類でトランスミッションはATとMTどちらも揃える。より快適で楽しい、アミューズメントのような乗り心地を提供してくれる。

【ワンボックスパラダイス 1984年式 日産 キャラバン コーチ SLGシルクロード vol.2】

 82年には一部改良が実施され、前年に発売された特別仕様車のSGLシルクロードが最上級グレードとしてカタログモデルに昇格。併せて、2列目キャプテンシートのリムジン仕様をシルクロードに設定した。また、AT、MTともにフロアシフト化することで、より乗用車的な性格を強めた。このほかでは、ディーゼルエンジンにターボが付き、運転席側ドアの三角窓を廃止し、メーターデザインを変更している。

 翌83年にはマイナーチェンジ。グリルデザインを変更したほか、GLとSGLシルクロードの間に新グレードのFLを設定。もっとも大きな違いは、FLとSGLシルクロードのヘッドライトを角形2灯から角形4灯に変更し、メッキバンパーを大型化した点で、精悍かつスポーティーな顔になった。

 このように乗用RVとして大きく進歩したE23キャラバン&ホーミーは、レトロ感あふれるスタイルと乗用車的な装備が人気である。なかでも最上級のSGLシルクロードの注目度は高い。今回の撮影車両は角目4灯の後期モデルで、外装にメッキ仕上げのフロントグリルや大型カスタムミラーを装備。室内では、フルトリムやモケット生地のシート、カーペットなどで豪華仕様となっているのが特徴だ。さすがにE23は中古車の流通量が極少で、部品不足で苦労もあるだろうが、ワンボックスに革命をもたらした名車を大事に乗ってもらいたい。
【画像13枚】小振りな純正マッドガードは透け文字のようなデザインでオシャレ。外見は直立したフロントまわりと併せて、箱形スタイルはレトロなバスをイメージさせる



>>SGLシルクロードの8人乗りはストライプ柄、7人乗りはブラウン系単色のシート。痛みはあるが、年式を考えたら状態はいいといえる。



>>長さ680mm×幅1000mmという当時日本最大のサンルーフは電動開閉式。SGLシルクロードにはオプション設定(装着車として販売)されていた。


OWNER’S VOICE


日産旧車が好きで、130セドリックのスペシャル6になんと15年間も乗っていたというオーナー。この個体は約6年前に購入し、快適で不安なく走れるようにサファリモーターズでエンジンやエアコンをオーバーホール。おかげで家族でのお出かけも問題なし。お子さんたちもさぞかし気に入っていると思いきや、「このクルマが当たり前なので、特別な反応はないですね」と、ちょっと寂しそうなオーナー。


主要諸元 Specifications
1984年式 日産 キャラバンコーチ SGL シルクロード


全長×全幅×全高(mm) 4420×1690×1925
ホイールベース(mm) 2350
トレッド前/後(mm) 1440/1430
車両重量(kg) 1424
エンジン型式 Z20型
エンジン種類 直列4気筒SOHC
総排気量(cc) 1952
ボア×ストローク(mm) 85.0×86.0
最高出力(ps/rpm) 105/5200
最大トルク(kg-m/rpm) 16.5/3200
サスペンション リジッドリーフ(前後とも)
ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク/デュオサーボ
タイヤ 185SR14(前後とも)

【1】から続く

1984年式 日産 キャラバン コーチ SLGシルクロード(全2記事)
初出:ハチマルヒーロー 2017年5月号 Vol.41

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

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TEXT:Rino Creative/リノクリエイティブ PHOTO:AKIO HIRANO/平野陽

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