秋山の心臓|20数年の時空を越えた美麗すぎる4A-GZE、いよいよ搭載|進化する「頭文字D」レプリカ vol.7【1】

Ⓒしげの秀一・講談社|オーバーホール&レストアを終えた4A-GZE型がついにドッキングされた。バルクヘッド側のクリアランスやエンジンの揺れを考慮して、絶妙な一にマウントされる。NAと違い、載せ替えキットも存在しないのでパイピング等をワンオフで製作しながら進められた

       
【進化する「頭文字D」レプリカ vol.7 秋山の心臓 vol.1】

 自動車ヒエラルキーの頂点に向かうほどに排気量が増大した時代は、もはや過去のものになった。いまやダウンサイジング=小排気量化は「トレンド」ではなく定着した感がある。メルセデス・ベンツ、BMWなど欧州ブランドにおける車名は、その数字より小さな排気量のエンジンを搭載するのはもはや当たり前となっている。

 さらに小排気量化は驚くほどのスピードで進んでおり、たとえばベンツSクラスではもっとも小さい排気量のエンジンはなんと2.2L。BMW3シリーズでは1.5L。それでも、グレードに見合ったドライバビリティを実現できているのだから技術の進歩はめざましい。

 さかのぼること30年以上、1986年にトヨタMR2に初搭載された4A‐GZE型1.6L直列4気筒スーパーチャージャー(以下:S/C)エンジン。そのコンパクトネスと高効率は、現代で再評価されるにふさわしい。

 ただし、それだけのポテンシャルを持ちながらも、実際は10年未満という短命に終わった4A‐GZE型。今では現存するものを探すのすら困難になってしまっている状況ではある。しかし、その逆境に立ち向かいながら復活に賭けているのが、京都のAE86スペシャルショップ・カーランドだ。

 『頭文字D』主人公・藤原拓海にとって、ある時はライバルであり、ある時は走りの師匠としての顔を持つキャラクター・秋山渉。ふたりの距離は接近しつつもどこか一線を残した不思議な関係だ。水と油、まではいかないがマシンメイクに関してもそれぞれが独自の路線を歩んでいる。NAにこだわり抜く拓海と、過給器にこだわる渉。拓海はライトチューン4A‐G型からグループA仕様へ、渉はターボからS/Cへと、ストーリーが進むごとにマシンを進化させている。

 原作を忠実にトレースしながら、劇中に登場する秋山渉のAE86レビンを実車として世に送り出すプロジェクト。

【画像15枚】『頭文字D』の主人公のライバルである秋山渉のマシンを忠実に再現。ファンにとっては目を疑うような出来栄えであろう。油圧のスペースが残されていないことから電動パワステを装着。CUSCOの大径プーリーは、まだ新品で供給されている希少なパーツだ



>>インタークーラーを装着しないのなら、「TWINCAM 16 SUPERCHAGER」の刻印が誇らしげに浮き立つ思わぬ効果が。



>>いぶし銀の輝きを放つ新品のエキマニはカーランドオリジナル。乗りこなすうち、焼きが入るとまた違った表情を見せてくれる。




【2】へ続く

初出:ハチマルヒーロー 2017年3月号 Vol.40
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

進化する「頭文字D」レプリカ vol.7(全3記事)

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TEXT:KIYOSHI HATAZAWA/畑澤清志 PHOTO:MINAI HIROTAKA/南井浩孝

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