ボディがまるでサスペンションの構造材のひとつ、AE86の骨格考察【1】進化する「頭文字D」レプリカ

ボディパネル、灯火類を組付けるための目安になる数値。そしてさらに目視による微調整が行われる組付け

       
着々と進む「ネオ頭文字D仕様」=秋山渉レビン製作プロジェクト。現在、架装パーツはすべて取り外され、ボディは完全ネイキッド状態にある。この工程だからこそ知ることのできる、AE86フレームについての考察をお届けする。きっと「初耳学」がそこにある。

【進化する「頭文字D」レプリカ「しなり」を生かした長寿命の秋山仕様へ Vol.1】

「頭文字D」コミックを読み返すたびに、秋山渉という男の魅力を再発見する。主人公・藤原拓海のライバルでありながら熱きバトルが終われば気持ちを切りかえ、同じAE86乗りの先輩としてのアドバイスを送る。負けん気が強く、勝つためにはマシンの進化をいとわない。そして可愛い妹を思やる一面。草食系の拓海とは対極にある人間臭さに、ますますひかれてしまう。

 連載が完結した現在では妄想の域を出ないが、拓海とのバトルに敗北したのを機にターボからスーパーチャージャーへ載せ替えられた秋山渉のマシン。もしもストーリーが続いていたなら、まだ進化形があるのではないか。そんなことを考えてしまう。

 カーランド代表でAE86マイスターの得知雅人さんと声優・鶴岡聡さんが二人三脚で進める秋山渉仕様製作プロジェクト。劇中を飛び出し実車化させるなら、得知代表独自の解釈を注入しながら、マシンメイクを進めたいところ。そんな秋山仕様は現在、装備品をすべて取り外され、ボディだけの状態にある。

 これからフレームやボディパネル細部のチェックの工程を経てペイント前の下地作り、そしてサフェーサーの塗装へと進んでいくのだが、すっぴん状態のいまだからこそ、AE86の骨格について考察していきたい。

 ご存じの方も多いが、AE86のフレームまわりは、その前の世代であるTE71レビン/トレノとほぼ共通する設計だ。TE71は1979年デビューだから、ぎりぎり「ノスタルジックヒーロー」世代。開発期間までさかのぼれば1970年代前半生まれの骨格なのだ。

 現代のようにコンピュータを駆使した構造解析などほとんどなかった時代。紙上に鉛筆で設計されたであろう頃の技術で作られたクルマが約40年を経た現在でも愛され続け、D1グランプリなどモータースポーツシーンにおいてもハイグリップタイヤやハードなサスペンション装着をものともせず、いまだ現役で活躍するAE86も多く存在するのだから、あらためて驚く。


>> 【画像14枚】一見普通のたたずまいだが、じつはエンジン、内装や機能部品などはすべてが取り外された状態のレビンのようすなど


text : KIYOSHI HATAZAWA/畑澤清志 photo : HIROTAKA MINAI/南井浩孝

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