「無機物にも魂や声を宿らせ擬人化していく」声優なりの愛車への向き合い方|進化する「頭文字D」レプリカ vol.5【2】

Nosweb 編集部 |2023/10/04 07:05 Facebook Twitter LINE スポイラー一体型のリアゲートも現在では入手困難。忠実にレプリカするためリアワイパーレス、鍵穴レスの「男気」仕様だ

       
トレノとレビンの違いはあれど、主人公・藤原拓海と同じAE86乗りとして時として対峙し、時として拓海へ走り屋としての道を教える秋山渉。深みのある描かれ方は、とても不思議な関係に映る。その秋山が駆るマシンのレプリカ製作が、いよいよ佳境に突入した。

【進化する「頭文字Dレプリカ」 vol.5[2]】

 プロジェクトがスタートして1年あまり。オーナー・鶴岡さんにも秋山の情熱が憑依したように思える。実際、短くない製作期間を振り返ると「得知さんとカーランドのスタッフさんが一生懸命マシンを作ってくれている間、僕も何かしなくちゃと居ても立ってもいられなくなって」と、本誌をはじめとする専門誌をむさぼり読む日々を送っている。

 あらためてAE86と向き合い、研さんに励んでいるのだ。前期・後期の違いを頭に叩き込みながら、秋山仕様の細かなディテールへ思いをはせる。

「声優というのは、無機物にも魂や声を宿らせ擬人化していくのも務めのひとつ。レビンにも同じように接することで、これから共に歩んでいきたい」。愛車への向き合い方を先輩・三木眞一郎さんから学びながら、鶴岡さんは完成を楽しみに待っている。

 キックオフから1年が過ぎ、秋山仕様実車化プロジェクトは折り返し地点を過ぎ、着実にゴールへと向かっている。現在はボディの全塗装が完了、パーツ組み付けを待つ状態にある。人体に例えるなら、骨格を矯正し表皮のキメを整えた状態だ。

 ベースの状態で、全塗装の必要がないほどに映ったミントコンディションだった秋山仕様だが、プロフェッショナルの手によりリペイント、さらなる美人へと変ぼうした。いま工場からラインオフしてきたばかりの新車、と言われると信じてしまいそうな、ぽってりとした艶。その塗装術もカーランド流のこだわりが込めれたものだ。

「白/黒2トーンカラーについてですが、白の部分は前期の途中からカラーコードが変わっています。同じ白でも違う色なんです」(得知代表)。そのカラートリム(型番)は「038」から「041」へと変更されている。

 自動車の塗料は、ひとくちに「白」といっても実際には微量の他の色が混じっている。それがメーカーやモデルごとの個性を出すことにつながっているのだが、「038」と「041」ではその混ぜられている色に違いがある。「038」では青が、「041」には黄色が混ぜられているのだ。「人によって受け止め方は違うかもしれませんが、『038』はホビーっぽさ、『041』のカラーからは高級感を感じますね」。

【画像16枚】鶴岡さんにも秋山の情熱が憑依したかのように、声優なりの向き合い方で愛車に熱を注いでいる


>>ここにおさまる予定の4A-GZE型エンジンは、AE92用とAE101用の2基準備されている。お互いのいいところをミックスして組まれる予定だ。


>>新車時の防水・防錆のためのシーリングの仕上げ方は、生産工場・時期によって微妙な差があるという。


>>「これを見ながら何杯でも白飯食べられますよ」とは鶴岡さん。いつまでも眺めていたい美しさだ。



【3】へ続く


初出:ハチマルヒーロー 2016年11月号 Vol.38
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

進化する「頭文字Dレプリカ」 vol.5 (全3記事)

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text:Kiyoshi Hatazawa/畑澤清志 photo:Minai Hirotaka/南井浩孝 Cooperation : カーランド

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