「コンサントラシオン」のスタート都市として選んだランス【6-2】ラリー・モンテカルロ・ヒストリックへの道 Vol 006

リエゾンとはいえ、コースは本格的なワインディングロード。大柄なZにはいささか厳しい。

       
プロジェクトの発足から約1年間の準備期間を経て、ようやく戦いの地であるフランスに乗り込んだ横田館長。今回はランスからの「コンサントラシオン」スタートから、競技拠点であるバランス到着までリポートする。

【 ラリーモンテカルロ・ヒストリックへの道 Vol.6-2】

【1】から続く

 今回、横田館長が「コンサントラシオン」のスタート都市として選んだランス(REIMS)は、名産のシャンパーニュと世界遺産ノートルダム大聖堂で知られる古都。はるか1950年代には、F1フランスGPの開催地だったことでも知られる。そして2月2日午前に、市内の見本市会場にて公開車検が行われたのち、同じ日の夜に荘厳なランス市役所前広場で行われるセレモニーとスタートに臨んだ。

 この日のランスは冷たい雨に見舞われながらも、スタート会場にはおびただしい数の熱狂的ラリーファンが来訪した。フランスのエンスージアストにとっても、1972年モンテカルロ・ラリー入賞車仕様をほぼ完璧なかたちで再現した館長のダットサン240Zは極めて興味深い様子。セレモニーのために会場に並べられた際にも、記念写真を撮るために順番待ちができるほどの人気ぶりだった。

 そして夜8時。各エントリー車両は約1分の間隔でスタート。ゼッケン「15」の横田/大木組も満場の喝采を受けつつ、L24型直列6気筒SOHCエンジンのサウンドを轟かせ、これから始まる大オデッセイへと乗り出した。館長たちランス出発組の「パルクール・デ・コンサントラシオン」は、総距離にして807km。翌4日の午後4時すぎに、現行のWRC戦およびフランス国内選手権の中継地にもなっているという南仏内陸部の町、バランスに到着するまで、実に約20時間を事実上の不眠不休で走破する。

 リエゾンながら、いきなり過酷な行程に飛び込んだ館長だが、その意気は軒高そのもの。サービス地点では疲れた様子もなく、笑顔のまま淡々とマシンとコースの状況を語ってくれるのだが、肝心の240Zはバッテリートラブルを発生。しかし、雪交じりの雨の中で行われた人見さんの的確な応急措置で、無事問題解決となった。

 そして翌3日午後、館長たちランス組のほか、バルセロナやハンブルグ、さらにはノルウェーのオスロ、スコットランドのグラスゴーなど2000kmを超えるような遠隔地から集結した総計300台以上に及ぶクラシックラリーカーと、それらに搭乗するドライバー/コドライバーたちとともに、ようやくバランスに到着する。

 しかし、これはあくまで「コンサントラシオン」のゴール。翌日早朝から、いよいよバランスを拠点とする本気のラリーが始まることになるのだ。

>> 【画像15枚】レーススタート:スタートセレモニーを前に、ランス旧市街に展示される240Zなど。かつての英雄を正確に模した姿は、会場でも大人気だった







トラブルをなんとか解消し、再びコンサントラシオンに向けて出発。






ギャラリーの詰めかけるコーナーにて、ドリフトを披露する横田館長と240Z。


OWNER’S VOICE/横田 正弘さん



言わずと知れた伊香保「おもちゃと人形 自動車博物館」館長にして、「スプレンドーレ」系イベントの主宰者。また自身も世界中のラリーで活躍するなど、日本旧車界を代表する1人。約1年かけて仕上げたダットサン240Zとともに、ラリーモンテカルロ・ヒストリックに挑戦。




【3】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2018年6月号 vol.187
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

ラリーモンテカルロ・ヒストリックへの道 Vol 006(全2記事)

関連記事:ラリーモンテカルロ・ヒストリックへの道

関連記事:240Z



【1】から続く

text & photo:HIROMI TAKEDA/武田公実 photo:KEIGO YAMAMOTO/山本圭吾

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