「Zでダートラを走る」意義【3-2】ラリー・モンテカルロ・ヒストリックへの道

館内に置かれる2台の240Zレーシングのうち、赤い1台は当時の日本GPなどで実際に走っていたマシンを模してレストアしたもの

       
今回は横田館長のラリー・モンテカルロ・ヒストリックへの挑戦へのルーツを探るべく、彼のS30Zが展示されている伊香保おもちゃと人形 自動車博物館へと足を運んだ。

【ラリー・モンテカルロ・ヒストリックへの挑戦へのルーツ Vol.3-2】

【1】から続く

 その後、モータースポーツにもひかれていった横田館長は、ダートトライアルなどにもZで参戦していたそうだ。しかし、当時のダートラ界で主流だったのは、KPスターレットやP10チェリーなどの軽量なクルマたち。ハイパワーだが重いS30Zは明らかに不利だった。しかも、当時のダート用タイヤはZに適した14インチがなく、無理して13インチを履かせていたことから戦闘力はさらに低下。それでも「Zでダートラを走る」ことに意義を強く感じていたとのことだ。

 建築会社を起こして成功者となっていた横田館長が、現在の「伊香保おもちゃと人形 自動車博物館」を創立したのは今から23年前。40歳の時だった。国産クラシックカーのコレクションを展示しようと考えた館長は、まずは美しく修復されたZ432と、レーシングカーに仕立てた2台の240Zを所蔵することになったが、ほどなくJCCAのクラシックカーレースでご自身が走らせていたフルノーマルの240ZGもラインナップに加えることを決意。現在の素晴らしい4台体制が完成するに至ったのだ。

 今なお年間40万人が訪れる「伊香保おもちゃと人形 自動車博物館」は、横田館長の思いが詰まった夢の空間。そしてS30系Zもまた、館長の夢そのものを体現した所蔵品のようである。


>> 【画像14枚】スカイラインGT-RやホンダS800などのスポーティーモデルや、セダン、旧規格軽自動車。自動車博物館の展示スペースの車両たちなど



>> 自動車博物館の2Fはセダンなどの実用車を中心とした展示。



初出:ノスタルジックヒーロー 2017年10月号 vol.183
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

ラリー・モンテカルロ・ヒストリックへの挑戦へのルーツ(全2記事)

関連記事:ラリー・モンテカルロ・ヒストリックへの道

関連記事:フェアレディZ



【1】から続く

text:HIROMI TAKEDA/武田公実 photo:KEIGO YAMAMOTO/山本圭吾

RECOMMENDED

RELATED

RANKING