通算52勝のうちの何勝かを、もしかしたらこのハコスカが挙げているかもしれない【3】1969年式 日産スカイライン 2000 GT-R レーシング仕様

ボンネット、フロントフェンダー、ドアなどのボディパネルはFRP製、ウインドーはアクリル製と、徹底した軽量化を実施。リアアンダーパネルはマフラーの切り欠きすらない一枚板だ。

       
日本のモータースポーツの世界で、無類の強さを発揮し、伝説となったスカイラインGT-R。
その当時を走ったレーシングカーが動態保存されているのは、かなり珍しいケースだ。
1970年代の空気感すら閉じ込めた、生きる伝説のオーラに迫る!

【 1969年式 日産スカイライン 2000 GT-R レーシング仕様 Vol.3】

【2】から続く

 このPGC10レーシングのオーナー、「ガレージタケウチ」の竹内さんはレストアや車両販売が本業であるため、イベントにクルマを出展することでショップのプロモーションに生かしたいという思いももちろんあるそうだ。だが、このレーシングカーに関しては、再びサーキットに持ち込んで走らせたり、レースやタイムアタックでアピールするといった使い方は一切考えていないという。

 それよりも、当時のレーシングカーだからこそ醸し出せる空気感、時の洗礼を受けて生み出された凄みのようなものを、ずっと大事にして保存していきたいと語ってくれた。

「直そうと思えば直せる部分はいっぱいありますけど、当時のレーシングカーならではの粗削りなところを残していきたいですね。例えばFRPのボディパネルは、チリが合ってないところもあるんですけど、そこがまたいいと思うんです。通算52勝のうちの何勝かを、もしかしたらこのレーシングカーが挙げているかもしれないと思うとワクワクしますよね。だからこそ、当時のスペックのまま、ちゃんと動かせる状態をキープしていきたい。それはこのクルマを手に入れた自分に課された使命だと思っています」と熱く語った。


>> 【画像22枚】キーシリンダーやワイパーのスイッチなどは、簡素なブラケットに配線むき出しと、レーシーな雰囲気を漂わせるセンターコンソールなど




>> 不要なものをすべて取り払ったスパルタンな内装。インパネはワンオフの一枚板で製作されている。ステアリングは貴重なマッハの当時モノだ。






>> 竹内さんが前オーナーから車両と一緒に継承したスナップ写真。富士フレッシュマンに参戦していた時のもので、当時の雰囲気が伝わってくる。ボディはパープルに塗られた後、元色であるシルバーに再塗装されている。




1969年式 日産スカイライン 2000 GT-R レーシング仕様(PGC10)

Specification 諸元
●エクステリア : FRPボンネット/フロントフェンダー/ドア/トランク/オーバーフェンダー/レーシングジャケット/リアスポイラー、アクリルウインドー
●エンジン : S20型(K2ヘッド)レース仕様、ウエーバー45DCOE、レース用エキゾースト&サイド出しマフラー
●駆動系 : 71Aミッション(OP1)、R192デフ(ファイナル4.6)
●足回り : 前後ともレース仕様
●ブレーキ : (F)MK63キャリパー&ベンチレーテッドローター (R)ドラムブレーキ
●内装 : マッハステアリング、ワンオフレース用メーターパネル、レース用ワイドミラー、ダッツンバケットシート、5点式フルハーネス、4点式ロールバー
●ホイール : レース用ワイドホイール(スチール)
●タイヤ : ダンロップ レーシングCR92 (F)200/590-14 (R)230/600-14


初出:ノスタルジックヒーロー 2018年2月号 Vol.185
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1969年式 日産スカイライン 2000 GT-R レーシング仕様(全3記事)

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【1】【2】から続く

photo : KAZUHISA MASUDA/益田和久

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