なんとも憎めない可愛いクルマ「クーペちゃん」|マツダ R360 クーペ Vol.1|珍車秘宝館

360cc軽規格の2ドアクーペスタイルながら、乗車定員は4名のR360クーペ。丸目2灯のタレ目風ヘッドライトなど、ポルシェを思わせるデザイン。

       
「珍車秘宝館」は、国産車や輸入車はもちろん、クルマにまつわる激レア品や珍品、摩訶不思議なパーツなどにもスポットを当てるマニアックなコーナーで、館長の貴重な体験やコレクションなども合わせて紹介していく。今回は、マツダ初の乗用車となったR360クーペとトルコン式ATミッションに注目! 

【マツダ R360 クーペ Vol.1】

【1】から続く

 今回の「珍車秘宝館」のテーマに選ばれたのは、マツダ初の乗用車となったR360クーペ。しかも、珍しいトルクコンバーターミッションだ。

「マツダR360クーペは、2011年12月に、秘宝館(ガレージ)に来ました。なんとも憎めない可愛いクルマで、クーペちゃんと呼んでます」と館長。

 360クーペは、356ccの強制空冷90度V型2気筒OHVエンジンで、オイル潤滑方式には、ドライサンプ方式を採用する。しかも、ヘッドやブロックはアルミ合金製で、補機類などにはマグネシウム合金を使うなど、軽量化にも意欲的に取り組んだ。また、最高出力16 ps/5300rpmという、当時としては異例の高回転型エンジンだった。R360クーペはこのV型エンジンをリアに縦置きに搭載し、後輪を駆動するRR方式を採用している。

 館長が手に入れたR360クーペは、軽自動車初のトルクコンバーター方式のオートマチックミッションを搭載したクルマで、身体障害者用に受注生産された貴重な1台だった。


>>【画像22枚】「昭和35年4月28日(木)」の新聞には、R360クーペがデビューした広告が掲載されている、オークションでGETした館長秘蔵の貴重な資料など





燃料タンクはフロントトランク内にある。燃料ゲージは、給油キャップのコルク状のヒモで、染み込んだ量を目視する。






研究(修理?)のため、ボディの下に潜り込んで作業する館長。独創的な改良の成果もあって、最高速85km/hのカタログスペック通りに走れるようになったそうだ。






当時のカタログに掲載されていた解説図。上のイラストでミッション部分は、「補助ミッション」となっているのがポイント。トルクコンバーター自体が減速装置になっていて、通常は2速ギアに入れたままで走行する。当時の技術解説書によると、トルクコンバーターのトルク比は2.8(ストールトルクと呼ぶ)。これは、2.8の減速比を持ったギアが組み込まれているのと同じ。この減速比が、入力回転に対し、出力回転が同速(入力と出力の回転が合ってくること)になることで、自動的に1.0に増速されていく。これがトルクコンバーターの大きな特徴


【2】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2016年10月号 vol.177(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

マツダ R360 クーペ(全3記事)

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photo & text :珍車秘宝館 館長

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