二分割されたセンターコンソールに垣間見えるプロの目線と「脱・定番」の遊び心|1971年式 日産 スカイライン HT 2000GT-X Vol.4

街乗りメインの楽しいハコスカです。

       
「旧車にかかわる仕事をしている方々は、プライベートではどんなクルマに乗っているのか?」
そんな素朴な疑問に答えるコーナーがこちら。
今回登場していただいたのは、埼玉の「RSスタート」で当時工場長だった宮﨑裕二さん。
その愛車はストック重視でも走り重視でもない、従来にはない世界観を元に作られた「新種」だった。

【1971年式 日産 スカイライン HT 2000GT-X 〜2017〜 Vol.4】

【3】から続く

 室内に目を移しても、革新的なモディファイは続く。張り替えられたレカロのシートには、オーナーが好きなグリーンの色が配され、その色はダッシュボードを覆うアルカンターラ生地のステッチとしても活用。イメージの統一をはかった。旧車を扱うプロの目線を実感できるのが、二分割されたセンターコンソールだ。なぜなら、
「オーディオやETCを前側に、ミッションとパワーウインドーを後ろ側に置いてます。こうすると、修理のときの配線処理が楽なんですよ」と、あくまで機能的であることを念頭に置いている。

 お客さんのリクエストに、ベストで応えるのが宮﨑さんの仕事の顔ならば、今回見せてくれたプライベートの顔は、遊び心のある1人の旧車好きといった感じだった。だが、この遊びの部分があるからこそ、柔軟性のある仕事ができるのだと、納得せずにはいられなかった。


>>【画像51枚】整備性を考えた末、二分割されたセンターコンソール。ヘッドユニット下のくぼみにスマホを置き、ナビとして使うことも考慮されている。エンジンルームをスッキリさせたため、ヒューズなどはグローブボックスの中とへ移動。おなじグローブボックス内に新設されたキルスイッチなど





オーリンズ製車高調(コイルはスウィフトの7kg/mm)、グリーンで塗られたキャリパーを含むブレンボのキットは、ともにRSスタートのノウハウが詰まった同店のオルジナルパーツ。



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こちらはリアの足回り。フロント同様オーリンズのアブソーバーを備え、RSスタート製リアロワーアームキャンバーゼロ加工を使い、キャンバー角を調整する。




狙いは「脱・定番」。 その意識は特大フェンダーと 金ホイールに込められる。



宮﨑さんが働く、「RSスタート」はこんなお店!  


宮﨑さんの職場である「RSスタート」は、1975年にタイヤショップの「ラジアルショップスタート」として営業を開始。その後、チューニングと旧車の両方を扱うショップとなったが、15年ほど前からハコスカ、S30Zなどの旧車に軸足を置くスタイルとなったそう。つまり、ハコスカや30Zが現役で走っていた当時からのノウハウがあるので、レストアから整備、チューニングまで、なんでも任せて安心のお店なのだ。


1971年式 日産 スカイライン HT 2000GT-X(KGC10)
SPECIFICATIONS 諸元
■ボディ:オリジナルシルバーオールペン、RSスタート・フロントワークススポイラー/ドライカーボンボンネット/スーパーワイドオーバーフェンダー(フロント95mm、リア110mm拡大)/フェンダーミラー/カーボンエアアウトレットダクト、リプロフロント/リアバンパー、LEDスモールランプ/ウインカー/テールランプ、GT-R用フロントグリル/熱線なしリアガラス
■エンジン:L28型改(3013cc)、N42ブロックブラックペイント、亀有レーシングワークス・鍛造レーシングピストンφ90mm/クロモリ軽量139.5mmコンロッド、L28型クランクバランス取り、圧縮比11.3:1、RSスタート・レース用カム/ラジエーターサブタンク改ブローバイタンク、レース用バルブスプリング、IN46mm/EX38mmビッグバルブ、カムカバー迷彩ペイント、ナンバー7・クリアオイルフィラーキャップ、90Aブラックオルタネーター(アルマイト加工ピロロッド付き)、ニスモ・レース用クランクプーリー、ハイパワースターターブラックペイント、ワイヤータック&フルスムージングエンジンルーム
■吸排気系:原田商会・インテークマニホールド、ウエーバー・キャブレーター45DCOE×3、アルミ削り出しファンネル、ワンオフφ45mm6-1ステンレスエキゾーストマニホールド
■点火系:ボックス入りイグニッションコイル、永井電子機器・MDI/プラグコード
■冷却系:純正ラジエーター3層コア増し&粗めピッチ加工、RSスタート・ラジエーターサブタンク取り付け位置加工
■燃料系:ワンオフフューエルレール、ホーリー・燃料ポンプ/燃圧計
■駆動系:240Z用クロスミッション、R180オープンデフ
■操舵系:ステンレス製ワンオフステアリングシャフト、他車用電動パワーステアリング、ステアリングギアボックス振れ止めプレート
■補強系:フレーム延長、純正フレーム30mmスライス加工入り、サイドシルアウター&インナー間1枚補強板入り
■サスペンション:(F)RSスタート・オーリンズ車高調(スウィフトコイル7kg/mm)/調整式ロワーアーム/ピロタイロッドエンド/テンションロッド、スタビライザー強化ブッシュ、(R)RSスタート・リアロワーアームキャンバーゼロ加工/オーリンズショックアブソーバー/リア車高調(18kg/mmコイル)キット
■ブレーキ:他車用マスターバック、S15シルビア用マスターシリンダー、ブレーキライン引き直し、(F)RSスタート・ブレンボキャリパーキット(グリーンペイント加工)、(R)純正ドラムカバーペイント
■インテリア:ナルディ・バックスキンステアリング、クルーズ・ステアリングナット、ワークスベル・ラフィックスボス、ダッシュボードアルカンターラ張り替え、PLX空燃比計、レカロ・RS-Gバケットシート張り替え、リアシート張り替え、グローブボックス内ヒューズ&キルスイッチ収納、カロッツェリア・ヘッドユニット、2分割式センターコンソール、JBL・スピーカー、RSスタート・フロアマット
■タイヤ:(F)ブリヂストン・ポテンザRE71R 195/50R15
(R)マキシス・ビクトラ 245/40R15
■ホイール:ワーク・マイスターCR01ディスクゴールドペイント、リムキャンディレッドペイント(F)15×9.5J -47 (R)15×11J -41、クルーズ・ホイールナット


初出:ノスタルジックスピード 2017年11月号 vol.014(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1971年式 日産 スカイライン HT 2000GT-X(全4記事)

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【1】【2】【3】から続く

text:AKIO SATO/佐藤アキオ photo:RYOTA SATO/佐藤亮太

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