子供の頃は「なんでウチのクルマはこんなに暑くてうるさいんだ?」としか思ってなかった|1971年式 日産 スカイライン HT 2000GT-X Vol.1

片側だけで95mmものワイド化を実現するオーバーフェンダーは、あまりの評判の良さから市販化が決定したそうだ。「海外からも注文が来てます」と、うれしい悲鳴が。なお、カーボン製のオーダーも受けてくれるとのこと。

       
「旧車にかかわる仕事をしている方々は、プライベートではどんなクルマに乗っているのか?」
そんな素朴な疑問に答えるコーナーがこちら。
今回登場していただいたのは、埼玉の「RSスタート」で当時工場長だった宮﨑裕二さん。
その愛車はストック重視でも走り重視でもない、従来にはない世界観を元に作られた「新種」だった。

【1971年式 日産 スカイライン HT 2000GT-X 〜2017〜 Vol.1】

【1】から続く

 宮﨑裕二さんは、埼玉の旧車専門店「RSスタート」で工場長を務めている(取材時)。自動車整備の専門学校を卒業後、某外車ディーラーの勤務を経て、現在勤続20年を迎えた。

「子供の頃から家にハコスカやケンメリのGT-Rがありました。ドライブとかバーベキューにもGT-Rで出か掛けるんですが、『なんでウチのクルマはこんなに暑くてうるさいんだ?』としか思ってなかったですね(笑)」と屈託のない笑顔で振り返る。

 こんな環境で英才教育を受けただけあって、自動車運転免許取得後もR30スカイライン、AE86、S30フェアレディZ、R32GT-Rといった走り系のクルマを乗り継いできた宮﨑さん。そして5年前、今回紹介するハコスカの2ドアハードトップと出合うことになった。

>>【画像39枚】GT-R専用オバフェンが霞んで見えるほど、強烈な個性を発揮するリアオーバーフェンダー。出幅は片側110mmほどで、ボディ下部まで覆う形状も美しい。フロント15×9.5J -47、リア15×11J -41のワーク・マイスターCR01をセレクトしたホイールなど


「旧車を仕事にしているので、半分仕事、半分遊びのつもりで、何か古いのを1台欲しいと思っていたんです。S30Zだと家族が乗れないので、自然とハコスカがいいかな」と考えていたところ、専門学校時代からの友人が、レストア途中のハードトップを手放すという話が飛び込んできた。
「板金塗装の仕事をしている友人が、レストアの勉強も兼ねてキチンと作っているクルマでした。しかも、純正のようにレストアするのではなく、弱いところには補強を入れるなど、独自の工夫が施されていることも気に入って購入を決めました」




あえてGT-Rのエンブレムは付けず、GT-Rルックを目指さないフロントマスク。フロントスポイラーはRSスタートのFRPモデルを採用する。





Cピラーを彩るエアアウトレットも、RSスタートのカーボンタイプに交換した。スポーティーさを演出したいのなら、ぜひとも付けたいアイテムだ。




ボディカラーは純正調のシルバーを選択した。その色でペイントしているため気付かないが、実はRSスタートのドライカーボンボンネットを装着して軽量化も果たしている。



1971年式 日産 スカイライン HT 2000GT-X(KGC10)
SPECIFICATIONS 諸元
■ボディ:オリジナルシルバーオールペン、RSスタート・フロントワークススポイラー/ドライカーボンボンネット/スーパーワイドオーバーフェンダー(フロント95mm、リア110mm拡大)/フェンダーミラー/カーボンエアアウトレットダクト、リプロフロント/リアバンパー、LEDスモールランプ/ウインカー/テールランプ、GT-R用フロントグリル/熱線なしリアガラス
■エンジン:L28型改(3013cc)、N42ブロックブラックペイント、亀有レーシングワークス・鍛造レーシングピストンφ90mm/クロモリ軽量139.5mmコンロッド、L28型クランクバランス取り、圧縮比11.3:1、RSスタート・レース用カム/ラジエーターサブタンク改ブローバイタンク、レース用バルブスプリング、IN46mm/EX38mmビッグバルブ、カムカバー迷彩ペイント、ナンバー7・クリアオイルフィラーキャップ、90Aブラックオルタネーター(アルマイト加工ピロロッド付き)、ニスモ・レース用クランクプーリー、ハイパワースターターブラックペイント、ワイヤータック&フルスムージングエンジンルーム
■吸排気系:原田商会・インテークマニホールド、ウエーバー・キャブレーター45DCOE×3、アルミ削り出しファンネル、ワンオフφ45mm6-1ステンレスエキゾーストマニホールド
■点火系:ボックス入りイグニッションコイル、永井電子機器・MDI/プラグコード
■冷却系:純正ラジエーター3層コア増し&粗めピッチ加工、RSスタート・ラジエーターサブタンク取り付け位置加工
■燃料系:ワンオフフューエルレール、ホーリー・燃料ポンプ/燃圧計
■駆動系:240Z用クロスミッション、R180オープンデフ
■操舵系:ステンレス製ワンオフステアリングシャフト、他車用電動パワーステアリング、ステアリングギアボックス振れ止めプレート
■補強系:フレーム延長、純正フレーム30mmスライス加工入り、サイドシルアウター&インナー間1枚補強板入り
■サスペンション:(F)RSスタート・オーリンズ車高調(スウィフトコイル7kg/mm)/調整式ロワーアーム/ピロタイロッドエンド/テンションロッド、スタビライザー強化ブッシュ、(R)RSスタート・リアロワーアームキャンバーゼロ加工/オーリンズショックアブソーバー/リア車高調(18kg/mmコイル)キット
■ブレーキ:他車用マスターバック、S15シルビア用マスターシリンダー、ブレーキライン引き直し、(F)RSスタート・ブレンボキャリパーキット(グリーンペイント加工)、(R)純正ドラムカバーペイント
■インテリア:ナルディ・バックスキンステアリング、クルーズ・ステアリングナット、ワークスベル・ラフィックスボス、ダッシュボードアルカンターラ張り替え、PLX空燃比計、レカロ・RS-Gバケットシート張り替え、リアシート張り替え、グローブボックス内ヒューズ&キルスイッチ収納、カロッツェリア・ヘッドユニット、2分割式センターコンソール、JBL・スピーカー、RSスタート・フロアマット
■タイヤ:(F)ブリヂストン・ポテンザRE71R 195/50R15
(R)マキシス・ビクトラ 245/40R15
■ホイール:ワーク・マイスターCR01ディスクゴールドペイント、リムキャンディレッドペイント(F)15×9.5J -47 (R)15×11J -41、クルーズ・ホイールナット

【2】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2017年11月号 vol.014(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1971年式 日産 スカイライン HT 2000GT-X(全4記事)

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text:AKIO SATO/佐藤アキオ photo:RYOTA SATO/佐藤亮太

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