レースで使っていたN42ブロックのL28型+鍛造ピストン・クロモリコンロッドの3013cc|1971年式 日産 スカイライン HT 2000GT-X Vol.3

素材と差し色のバランスで、室内を現代風にアップデート!

       
「旧車にかかわる仕事をしている方々は、プライベートではどんなクルマに乗っているのか?」
そんな素朴な疑問に答えるコーナーがこちら。
今回登場していただいたのは、埼玉の「RSスタート」で当時工場長だった宮﨑裕二さん。
その愛車はストック重視でも走り重視でもない、従来にはない世界観を元に作られた「新種」だった。

【1971年式 日産 スカイライン HT 2000GT-X 〜2017〜 Vol.3】

【2】から続く

 「ホイールの色もいいでしょ(笑)。これも定番の黒とかシルバーを避けた結果です。ディスクのゴールドは普通のペイントですが、リムはキャンディレッドを吹いています。最初にキャンディイエローを吹いてみたんですけど、どうも思った色と違って。で、最終的にキャンディレッドをシャバシャバに薄めたヤツを吹くことで、理想の色にたどり着きました」

 エンジンはRSスタートがレースで使っていたN42ブロックのL28型に、亀有エンジンワークス製鍛造ピストンやクロモリコンロッドを組み合わせた3013ccの強心臓を搭載。これにキャブレターはウエーバーの45DCOEを3基、タコ足はワンオフで製作したステンレスのφ45mm6−1タイプなどの吸排気系をセットアップ。機能面でもサウンド面でも満足のいく仕上がりになった。

 そして、L28型改3.1L仕様が搭載されるエンジンルームでも、宮﨑さんならではの定番テクニックを外すアイデアが盛り込まれている。

>>【画像51枚】N42ブロックに亀有製の鍛造φ90mmピストン&クロモリコンロッドと、中身も充実しているが、それを覆い隠す迷彩柄のカムカバーやナンバー7製クリアフィラーキャップの衝撃のほうが大きいエンジン本体など

 具体的には配線を極力隠すワイヤータック、エンジンルーム内のサービスホールなどを埋めるシェイブドベイ、迷彩柄を施すカムカバー、つなぎ目なしのアルミ削り出しファンネル、プラグコードの向きをそろえるためのイグニッションコイル取り付け位置変更などだ。これにより、衝撃的な外観の余韻が消えぬ間に、さらにエンジンルームのインパクトが追い打ちをかけるという好循環をもたらしてくれるのだ。




レカロが最近出している限定カラーのシートではない。RS-Gをグリーンと黒のレザー、アルカンターラ、そしてグリーンのステッチを使って完全に張り替えているのだ。





フロントシートのイメージそのままに、リアシートの張り替えも完了。





狙いは「脱・定番」。 その意識は特大フェンダーと 金ホイールに込められる。


1971年式 日産 スカイライン HT 2000GT-X(KGC10)
SPECIFICATIONS 諸元
■ボディ:オリジナルシルバーオールペン、RSスタート・フロントワークススポイラー/ドライカーボンボンネット/スーパーワイドオーバーフェンダー(フロント95mm、リア110mm拡大)/フェンダーミラー/カーボンエアアウトレットダクト、リプロフロント/リアバンパー、LEDスモールランプ/ウインカー/テールランプ、GT-R用フロントグリル/熱線なしリアガラス
■エンジン:L28型改(3013cc)、N42ブロックブラックペイント、亀有レーシングワークス・鍛造レーシングピストンφ90mm/クロモリ軽量139.5mmコンロッド、L28型クランクバランス取り、圧縮比11.3:1、RSスタート・レース用カム/ラジエーターサブタンク改ブローバイタンク、レース用バルブスプリング、IN46mm/EX38mmビッグバルブ、カムカバー迷彩ペイント、ナンバー7・クリアオイルフィラーキャップ、90Aブラックオルタネーター(アルマイト加工ピロロッド付き)、ニスモ・レース用クランクプーリー、ハイパワースターターブラックペイント、ワイヤータック&フルスムージングエンジンルーム
■吸排気系:原田商会・インテークマニホールド、ウエーバー・キャブレーター45DCOE×3、アルミ削り出しファンネル、ワンオフφ45mm6-1ステンレスエキゾーストマニホールド
■点火系:ボックス入りイグニッションコイル、永井電子機器・MDI/プラグコード
■冷却系:純正ラジエーター3層コア増し&粗めピッチ加工、RSスタート・ラジエーターサブタンク取り付け位置加工
■燃料系:ワンオフフューエルレール、ホーリー・燃料ポンプ/燃圧計
■駆動系:240Z用クロスミッション、R180オープンデフ
■操舵系:ステンレス製ワンオフステアリングシャフト、他車用電動パワーステアリング、ステアリングギアボックス振れ止めプレート
■補強系:フレーム延長、純正フレーム30mmスライス加工入り、サイドシルアウター&インナー間1枚補強板入り
■サスペンション:(F)RSスタート・オーリンズ車高調(スウィフトコイル7kg/mm)/調整式ロワーアーム/ピロタイロッドエンド/テンションロッド、スタビライザー強化ブッシュ、(R)RSスタート・リアロワーアームキャンバーゼロ加工/オーリンズショックアブソーバー/リア車高調(18kg/mmコイル)キット
■ブレーキ:他車用マスターバック、S15シルビア用マスターシリンダー、ブレーキライン引き直し、(F)RSスタート・ブレンボキャリパーキット(グリーンペイント加工)、(R)純正ドラムカバーペイント
■インテリア:ナルディ・バックスキンステアリング、クルーズ・ステアリングナット、ワークスベル・ラフィックスボス、ダッシュボードアルカンターラ張り替え、PLX空燃比計、レカロ・RS-Gバケットシート張り替え、リアシート張り替え、グローブボックス内ヒューズ&キルスイッチ収納、カロッツェリア・ヘッドユニット、2分割式センターコンソール、JBL・スピーカー、RSスタート・フロアマット
■タイヤ:(F)ブリヂストン・ポテンザRE71R 195/50R15
(R)マキシス・ビクトラ 245/40R15
■ホイール:ワーク・マイスターCR01ディスクゴールドペイント、リムキャンディレッドペイント(F)15×9.5J -47 (R)15×11J -41、クルーズ・ホイールナット

【4】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2017年11月号 vol.014(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1971年式 日産 スカイライン HT 2000GT-X(全4記事)

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【1】【2】から続く

text:AKIO SATO/佐藤アキオ photo:RYOTA SATO/佐藤亮太

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