「定番のスタイルは十分すぎるほど根付いている。別の角度から見た旧車を作りたい」|1971年式 日産 スカイライン HT 2000GT-X Vol.2

速さよりも美を追い求めた、魅せるためのL28型改3L。

       
「旧車にかかわる仕事をしている方々は、プライベートではどんなクルマに乗っているのか?」
そんな素朴な疑問に答えるコーナーがこちら。
今回登場していただいたのは、埼玉の「RSスタート」で当時工場長だった宮﨑裕二さん。
その愛車はストック重視でも走り重視でもない、従来にはない世界観を元に作られた「新種」だった。

【1971年式 日産 スカイライン HT 2000GT-X 〜2017〜 Vol.2】

【1】から続く

 宮﨑さんは仕事でハコスカやS30Zを毎日のように触りながらも、「定番のスタイルは十分すぎるほど根付いている。新規開拓って意味でも今までとは違うスタイル、別の角度から見た旧車を作りたい」と思っていた。なので、この話は渡りに船。

 そんな宮﨑号最大の見せ場は、足元だろう。誰もが振り返らずにはいられないほど迫力があるオーバーフェンダーとゴールドホイールのマッチングは、宮﨑さんが思う新たなる旧車スタイルを声高に主張する存在だ。

「最初にホイールを買ったんです、15×12J マイナス79のヤツを。メーカーの人も『S30Zのワークス仕様でないと入りませんよ』っていってました(笑)。それをレストア中の工場に持って行って、『これを収められるオバフェンを作って』って、いきなりわがままいいましたね(笑)。カタチとしては、漫画『シャコタンブギ』のジュンちゃんがハコスカにつけているような上から下まで覆うタイプ。フェンダーを切る覚悟が必要ですが、片側でフロント95mm、リア110mmも出るオバフェンは圧巻。今年2月の『ノスタルジック2デイズ』でデビューさせて以来好評で、市販化しました」。

>>【画像51枚】電動パワーステアリング化に伴い、ステンレス製に新調されたステアリングシャフト。振れを抑えるためにプレートを使って固定されたギアボックスなど



N42ブロックに亀有製の鍛造φ90mmピストン&クロモリコンロッドと、中身も充実しているが、それを覆い隠す迷彩柄のカムカバーやナンバー7製クリアフィラーキャップの衝撃のほうが大きい。





「いいものが見つかったから」との理由で、キャブはウエーバー45DCOEを3基セット。アルマイト処理したフューエルレールはワンオフのパーツで、アルミを削り出して作ったつなぎ目のないファンネルの造形美も見事なものだ。





特大フェンダーと金ホイールは、ヘタをすると品がなくなる組み合わせだが、4年がかりでレストアしたボディの良さもあって、全体に好印象をもたらす。


1971年式 日産 スカイライン HT 2000GT-X(KGC10)
SPECIFICATIONS 諸元
■ボディ:オリジナルシルバーオールペン、RSスタート・フロントワークススポイラー/ドライカーボンボンネット/スーパーワイドオーバーフェンダー(フロント95mm、リア110mm拡大)/フェンダーミラー/カーボンエアアウトレットダクト、リプロフロント/リアバンパー、LEDスモールランプ/ウインカー/テールランプ、GT-R用フロントグリル/熱線なしリアガラス
■エンジン:L28型改(3013cc)、N42ブロックブラックペイント、亀有レーシングワークス・鍛造レーシングピストンφ90mm/クロモリ軽量139.5mmコンロッド、L28型クランクバランス取り、圧縮比11.3:1、RSスタート・レース用カム/ラジエーターサブタンク改ブローバイタンク、レース用バルブスプリング、IN46mm/EX38mmビッグバルブ、カムカバー迷彩ペイント、ナンバー7・クリアオイルフィラーキャップ、90Aブラックオルタネーター(アルマイト加工ピロロッド付き)、ニスモ・レース用クランクプーリー、ハイパワースターターブラックペイント、ワイヤータック&フルスムージングエンジンルーム
■吸排気系:原田商会・インテークマニホールド、ウエーバー・キャブレーター45DCOE×3、アルミ削り出しファンネル、ワンオフφ45mm6-1ステンレスエキゾーストマニホールド
■点火系:ボックス入りイグニッションコイル、永井電子機器・MDI/プラグコード
■冷却系:純正ラジエーター3層コア増し&粗めピッチ加工、RSスタート・ラジエーターサブタンク取り付け位置加工
■燃料系:ワンオフフューエルレール、ホーリー・燃料ポンプ/燃圧計
■駆動系:240Z用クロスミッション、R180オープンデフ
■操舵系:ステンレス製ワンオフステアリングシャフト、他車用電動パワーステアリング、ステアリングギアボックス振れ止めプレート
■補強系:フレーム延長、純正フレーム30mmスライス加工入り、サイドシルアウター&インナー間1枚補強板入り
■サスペンション:(F)RSスタート・オーリンズ車高調(スウィフトコイル7kg/mm)/調整式ロワーアーム/ピロタイロッドエンド/テンションロッド、スタビライザー強化ブッシュ、(R)RSスタート・リアロワーアームキャンバーゼロ加工/オーリンズショックアブソーバー/リア車高調(18kg/mmコイル)キット
■ブレーキ:他車用マスターバック、S15シルビア用マスターシリンダー、ブレーキライン引き直し、(F)RSスタート・ブレンボキャリパーキット(グリーンペイント加工)、(R)純正ドラムカバーペイント
■インテリア:ナルディ・バックスキンステアリング、クルーズ・ステアリングナット、ワークスベル・ラフィックスボス、ダッシュボードアルカンターラ張り替え、PLX空燃比計、レカロ・RS-Gバケットシート張り替え、リアシート張り替え、グローブボックス内ヒューズ&キルスイッチ収納、カロッツェリア・ヘッドユニット、2分割式センターコンソール、JBL・スピーカー、RSスタート・フロアマット
■タイヤ:(F)ブリヂストン・ポテンザRE71R 195/50R15
(R)マキシス・ビクトラ 245/40R15
■ホイール:ワーク・マイスターCR01ディスクゴールドペイント、リムキャンディレッドペイント(F)15×9.5J -47 (R)15×11J -41、クルーズ・ホイールナット
も)

【3】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2017年11月号 vol.014(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1971年式 日産 スカイライン HT 2000GT-X(全4記事)

関連記事: メーカー&ショップスタッフの愛車拝見

関連記事: スカイライン


【1】から続く

text:AKIO SATO/佐藤アキオ photo:RYOTA SATO/佐藤亮太

RECOMMENDED

RELATED

RANKING