4シーターだったフェアレデー|1961年式 ダットサン フェアレデー 1200

白い幌のフレームは折りたたみ式で、黒い布ベルトでつながっている。収納時はリアシートの後方に収まる。

       
フェアレディという車名は、日産のスポーツカーの名前として、今なお、さん然と輝いている。そのルーツは、1959年6月に登場したダットサン・スポーツ(S211)にさかのぼる。翌60年1月にエンジン排気量を1Lから1.2Lにアップ。ダットサン・フェアレデーの車名が与えられ、輸出専用モデル(SPL212)として生産が続けられた。その後のSP/SR、S30フェアレディZと、国産スポーツカーの雄として、多くのファンを魅了したクルマであることは、皆がよく知っている。そんなフェアレディ各モデルを、個体それぞれが持つ「物語」と一緒に、振り返っていこう。

【1961年式 ダットサン フェアレデー 1200 Vol.3】

【2】から続く

 SPL213は、1960年に46台、1961年に119台、1962年に52台でトータル217台が生産された。そのほとんどは輸出され、ほんのごく少数が国内に残っていたようだ。

 今回紹介する車台番号が30番台のSPL213は、もちろん、アメリカに輸出された中の1台。しかも、20年ほど前にアメリカでフルレストアされた後、日本に輸入されたそうだ。

▶▶▶【画像21枚】足元のABCペダルの左側に装備されていた、ヘッドライトのハイ/ローを切り替えるフットスイッチなど


「当時、レストア中に、ボディカラーを赤/白か白/赤かどっちにする? となったんですが、白/赤が好みだったので、そうしました。国内に持ち込んでから、登録するのが大変でした。というのも、当時はこれまでに登録された実績がないということで、スペックをはじめとする資料を提出して、やっとの思いで登録できたんです。その後で、神戸のほうで登録があったことが分かりました」と、「アモン旧車倶楽部」の小西義彦代表。アメリカでレストアしている時からこのSPL213にかかわっており、今も現オーナーに依頼されてメンテナンスや保管を行っている。



SPL212/213は北米専売モデルだったため、左ハンドル仕様しかない。ダッシュボード、メーターパネルが白で、シート、内張りが赤というおしゃれなコーディネート。ラジオは真空管式だ。





ドア内張りには、ドアハンドル、オープナー、灰皿のほかに、脱着式サイドウインドーを固定するロックが装備されている。





右側がマイル表示のスピードメーターで、100mphまで刻まれている。左側は燃料、水温、オイル警告灯などのコンビネーションとなる。


1961年式 ダットサン フェアレデー 1200(SPL213)
Specification 諸元
全長 4025mm
全幅 1475mm
全高 1365mm
ホイールベース 2220mm
トレッド前/後 1186 / 1177mm
室内長 1380mm
室内幅 1065mm
室内高 1100mm
車両重量 890kg
乗車定員 4名
最高速度 130km / h
エンジン型式 E1型
エンジン種類 水冷直列4気筒OHV
総排気量 1189cc
ボア×ストローク 73.0×71.0mm
最高出力 60hp / 5000rpm(SAE)
最大トルク 8.8kg-m / 3600rpm
変速 機前進4段(2~4速 シンクロメッシュ)1速 3.945 / 2速 2.402 / 3速 1.490 / 4速 1.000 / 後退 5.159
最終減速比 4.625
燃料タンク容量 32.5L
ステアリング形式 カムアンドレバー式
サスペンション 前/後独立懸架トーションバー / リーフリジッド
ブレーキ 前後ともリーディングトレーリング
タイヤ 前後とも5.20-14-4P
輸出専用


初出:ノスタルジックヒーロー 2016年10月号 vol.177(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1961年式 ダットサン フェアレデー 1200(全4記事)

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【1】【2】から続く

photo : RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

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