アルファロメオと合弁会社を設立した狙いと、ミラノX1のグリーンのシートの理由|1984年式 日産 パルサー ミラノX1ターボ【2】

メーターは4種類あり、ターボ車専用、EXAターボR専用のデジタルメーター、標準的な3連メーター、そして上下が潰れた楕円形メーターが存在した

【1】から続く

1978年に発売された、本記事で紹介しているN12の前モデル、N10が大ヒット。その理由が荷室と車室を隔てる仕切りがない構造、ハッチバックの採用である。N10と同様に、N12も兄弟車展開を行った。

【1984年式 日産 パルサーミラノX1ターボ vol.2】

 さまざまグレードを展開していたN12パルサーだが、もっとも驚くべきは83年7月に日産とアルファロメオの合弁会社Alfa Romeo Nissan Autoveicoli(アルナ)が設立されたこと。日産のもくろみとしてはアルファロメオの流麗な車体に乗せることのデザイン性向上と欧州での知名度アップだったが、できあがったクルマ、アルナはパルサーそのままのボディにアルファスッドの1166cc水平対向4気筒OHVを搭載したもの。これでは当初のもくろみを果たせるわけがなく、欧州での販売は失敗。その後1.3Lの日産製エンジン搭載車種を登場させたが、唯一の売りだったアルファロメオのエンジンを手放したことで、さらに売り上げを落としたアルナによって合弁会社は設立から4年で終了することになった。

 しかし日本では、このイタリアンテイストを日本でも大々的に宣伝すべく「ミラノX1」が誕生。

 カタログには歴代のアルファロメオが並ぶ前に特別色であるイエロー2トーンをまとったミラノX1ターボが存在感を示す写真が使われ、日産とアルファロメオの合弁会社をアピール。ボディカラーを中心にイタリアファッションセンスをキャッチコピーに使うと共に、唯一のアルファロメオ製作パーツであるグリーンのシートを大々的に宣伝していた。

【画像22枚】ミラノX1最大の特徴というべきアルファロメオデザインのグリーンのシート。オプションオーディオの中でも高級志向のクラリオン「シティコネクション」を装着。ミラノX1ターボのミッションは5速MTのみの設定だった



>>日産の小型車の主力エンジンだったプラズマE型はFF車に最適なように横置きタイプとなっている。



>>ミラノX1ターボに搭載されていたのはプラズマE15E・T型エンジンで、最高出力および最大トルクともにパルサーに使用されたエンジンの中で最高のもの。



>>ターボチャージャーは低速トルクカムとの組み合わせでわずか800rpmから過給を開始する超広域タイプ。これによりターボ特有の低速域でのトルクの細さを軽減し、街中でも乗りやすい特性を発揮。また三元触媒の採用で燃費も向上させている。


1984年式 パルサーミラノX1ターボ

全長×全幅×全高(mm) 4095×1620×1390
ホイールベース(mm) 2415
トレッド(mm) 1395/1385(前/後)
車両重量(kg) 910
エンジン型式 E15E・T型
エンジン種類 水冷直列4気筒SOHC
総排気量(cc) 1487
ボア×ストローク(mm) 76.0×82.0
最高出力(ps/rpm) 115/5600
最大トルク(kg-m/rpm) 17/3200
サスペンション 前独立懸架ストラットコイル/後独立懸架トレーリングアーム
ブレーキ 前後ともディスク
タイヤサイズ 前後とも175/70SR13
発売当時価格 142万円


【3】へ続く

初出:ハチマルヒーロー 2017年3月号 Vol.40
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1984年式 日産 パルサー ミラノX1 ターボ(全3記事)

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TEXT : HACHIMARU HERO / 編集部 PHOTO : HIROTAKA MINAI / 南井浩孝

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