飯田章のMS51クラウンHT再生Proj.【4-2】「赤茶っぽいのはサビではなく錆止め塗装です」48年ぶりに鉄板があらわに|1970年式 トヨタ クラウン HT(MS51)

ボディ全体の小さな浮きサビは、塗装をはがした際に除去。その際、鉄板にはサビの跡やキズができてしまうので、ダブルアクションサンダーを使って鉄板の表面を削り、なめらかな下地を作る。

       
トップシークレットIIに運び込まれたクラウン。ボディ全体にうっすらとサビが浮き上がっているため、純正塗装をはく離しての板金塗装が行われる。ボンネット、フロントマスク、フロントフェンダー、ドア、トランクなどはいったん取り外して作業スタート。当時の純正塗装のはく離作業は、けっこう手強い!?

【飯田章のMS51クラウン再生プロジェクト 4-2 1970年式 トヨタ クラウン HT(MS51)】

48年ぶりにあらわにされた鉄板には、小さな浮きサビがあるためこれを除去。さらに、サビを取った際のキズをならすために、ダブルアクションサンダーで表面を磨いて下地を作る。その後、サビが発生する前にプライマーを吹き、板金修理を行い、パテ入れ、サフェーサー、塗装という工程が行われる。

気になったのが、錆びで腐食していたサイドステップの状態だ。リフトアップして確認すると、錆びた部分がバッサリと切除されていた。内側をのぞき込むと、赤茶っぽく見えた。

「表側のパネルは錆びていましたが、内部は大丈夫そうですね。赤茶っぽいのはサビじゃなくて、錆止めの塗装です。当時は、今のようにドブ漬けじゃなく、表面だけ塗装していたんだと思います。なので、内側は錆止め塗装のままなんじゃないですかね」と森崎さんは推測する。同じように、フロントフェンダーの内側に装着されている赤茶色のパネルも、雨水によるサビではなくサビ止め塗装で、ほとんど腐食はない状態。

取材時は、右フェンダーがプライマーを吹いた状態になっていて、ほかの部分も順番に作業が行われている。

また、メッキ仕様の前後バンパー、エンブレム類、グリル、モール類、フェンダーミラー、ドアノブなどは、いったんはく離した後、再メッキが施される予定だ。そのための下準備にも取りかかっているが、地味な作業ながら大変。錆びて固着している部分もあるが、スペアパーツの入手が困難なので慎重に扱わないといけない。次回は、再メッキ工場の現場を訪問する予定だ!

【画像15枚】一見サビにも見える赤茶っぽいものは当時の錆止め塗装。48年ぶりにあらわになった鉄板は、ほとんど腐食はない状態


>>下側からライトを当てて見たところ、赤茶色はサビではなく、鉄板の上に施された当時の錆止めと判明。表面はけっこう腐食していたが、内側はほとんどサビていなかった。切り取った部分は、鉄板を切り出し、溶接して補修される。


>>作業中の左フェンダーは、48年前の鉄板がむき出しになり、かなりなめらかになっていた。ただし、鉄板はすぐに錆び始めるので、作業が終わったらプライマーを吹いて保護しないといけない。


>>右フェンダーは、下地作りがほぼ完了し、プライマーを吹いた状態まで作業が進んでいる。この後は、必要であれば板金作業を行って、パテ入れ、サフェーサー、塗料を吹いて仕上がる。



トップシークレットⅡ ボディワークス

GT-Rのチューニングをメインに行うトップシークレットの店舗からほど近い場所にある「トップシークレットⅡボディワークス」は、鈑金塗装、ボディ補強、レースカー製作、エアロ製作・取り付けなどを行っている。R35GT-RをはじめとするRだらけだが、クラウン以外にも旧車がチラホラ。永田さんの趣味車もあったりする。




飯田章(いいだ あきら)

1989年7月9日、19歳で富士フレッシュマンレースでデビューし、初戦で3位入賞をはたす。その後、02年にはGT選手権でチャンピオンを獲得。現在はGT300の「LMコルサ」の監督を務める。


【1】から続く


初出:ノスタルジックヒーロー2018年12月号 Vol.190
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

飯田章のMS51クラウンハードトップ再生プロジェクト#04

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photo: Motosuke Fujii(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ) Cooperation; Top Secret/トップシークレット

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