世の中に197台しかないクルマ。所有する優越感も、思い出もひとしお|ワンオーナーズヒストリー|1973年式 日産 スカイラインHT 2000GT-R【2】

赤いホーンボタンとシフトノブがGT-Rのあかし。シルバーのメーターパネルは、当初はGT-Rだけだったが、1976年に登場したGTX-E・Sタイプにも採用された。

       
【1】から続く


クルマは、手に入れることよりも、大切に乗り続けることのほうがずっと難しい。人の気持ちは移りがちで冷めやすく、そしてクルマは使わずとも年々確実に老いていくからだ。今回紹介する愛車に一途なオーナーは、希少なケンメリGT-Rを新車で手に入れて以来、45年にわたって所有し続ける。何人もの人から「譲ってほしい」という声にも手放なさなかった、そのほれ込みようは並ではない。

【ワンオーナーズヒストリー 1973年式 日産 スカイラインHT 2000GT-R vol.2】

「今ほどではないものの、世の中に197台しかないクルマを所有する優越感はひとしおでした。もちろん走らせても速くて、峠ではサニーに負けても、高速では負けへんかった。ああ、それにこのケンメリRは、嫁はんとの思い出のクルマでもあったんです」

奥さんと付き合いはじめた頃、ちょうど乗っていたのがこのケンメリRで、これでよく遊びに出かけていたと懐かしそうに話す。独立して事業を始めた頃は、多少苦しい時期もあったそうだが、奥さんはこのケンメリRを持ち続けることを大目に見てくれたらしい。

「クルマ好きには宝物でも、興味のない人間にはただの使い勝手の悪そうなクルマ。手放さずに置いておけたのは嫁はんの許しがあればこそ。ホンマに一生頭が上がりません」とオーナー。

【画像27枚】奥さんとの思い出のつまったケンメリR。世の中に197台しか存在しないクルマを所有する優越感もひとしおだ



>>とても45年が経過したとは思えない素晴らしいコンディションのインテリア。前席のバケットシートの表皮は、ケンメリGT-R専用デザインとなる。


>>ジャッキ、工具類もすべて純正が揃う。トランクに敷かれたビニールのクロスも新車時のままだそうだ。


>>新車時からトランクに収まっているスペアタイヤ。純正ホイールに刻まれた「TOPY 12-72 5J×14S 3.2t」は、1972年12月製造ということ。



1973年式 日産 スカイラインHT 2000GT-R

全長4460mm
全幅1695mm
全高1380mm
ホイールベース2610mm
トレッド前/後1395/1375mm
最低地上高165mm
室内長1790mm
室内幅1340mm
室内高1125mm
車両重量1145kg
乗車定員5名
最高速度200km/h
登坂能力tanθ0.46
最小回転半径5.2m
エンジン型式S20型
エンジン種類水冷直列6気筒DOHC
総排気量1989cc
ボア×ストローク82.0×62.8mm
圧縮比9.5:1
最高出力160ps/7000rpm
最大トルク18.0kg-m/5600rpm
変速比1速2.906/2速1.902/3速1.308/4速1.000/5速0.864/後退3.382
最終減速比4.444
燃料タンク容量55L
ステアリング形式リサーキュレーティングボール
サスペンション前/後ストラット式独立懸架/セミトレーリングアーム式独立懸架
ブレーキ前後ともディスク
タイヤ前後とも175HR14
発売当時価格163万円



【3】へ続く


初出:ノスタルジックヒーロー2018年10月号 Vol.189
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1973年式 日産 スカイラインHT 2000GT-R(全3記事)

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text:Isao Katsumori(Zoo)/勝森勇夫(ズー) photo:Ryota-Raw Shimizu(Foxx Books)/清水良太郎(フォックス ブックス)

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