定番のキャブ仕様ではなく、なぜフルコン制御にしたのか? その答えは・・・【2】1977年式 日産 フェアレディZ

インジェクション制御のL20E型はフルノーマル。配管類がゴチャゴチャしているのでエンボス加工を施したアルミカバーを追加して配線類を隠している

【1】から続く

天候や場所に左右されない走りを求めて、インジェクション仕様に変更する旧車オーナーは増えている。キャブ独特の味わいはさておき、始動性や安定性は電子制御のほうが優れているからである。ここで登場するS31Zは純正インジェクションを生かしてフルコンによるアップデートを図った、ちょっと異色なL型チューンドだ。

【時代を突き進むL型チューンド! 1977年式 日産 フェアレディZ Vol.2】

 なぜフルコン制御にしたのか? その答えは意外な所にあった。元々は純正コンピューターで稼動していたというこの車両だが、たまにエンジンがかからないなど調子をくずしていた。トラブルシュートをすると、純正コンピューターが原因であることが判明。
 中古品なども出てくるはずはなく、調子を取り戻すにはソレックスなどを入れてキャブレター仕様にするか? はたまた純正インジェクションシステムを生かしたフルコン制御にするか?という二者択一を迫られたという。

 このS31Zのオーナーである加納隆久さんは飲食業を営んでいることもあり多忙な毎日を過ごす。S31に乗れるのは月に1〜2回あるかどうか。しかし、いざドライブに駆り出すときはエンジンが一発始動してほしいという要望があった。そうした条件に照らし合わせると、フルコン制御にするのがベストと判断したというわけだ。

 そのために必要となったのは吸気温度センサーや圧力センサー、そしてファーストアイドルなど安定させるААCバルブなど。これらのセンサーでエンジンの状況を掌握することで、最適なマネージメントを可能としている。

 それと同時に行われたのが点火系の強化である。デスビを外してRB用のクランク角センサーを追加。RB25用のダイレクトイグニッションを流用することで、高回転・高負荷時でも安定した着火性能を実現している。



>> フルコン化に伴い、RB型用のダイレクトイグニッションを流用。安定した点火性能を実現している。


>> 【画像17枚】デスビを廃してセットされたRB25型用のクランク角センサーなど。クランク角を読み取ることで、点火タイミングを決定している。サクションパイプに差し込まれていたエアフローセンサーはDジェトロ化(エアフロレス)に伴い不要になるため撤去され、代わりに吸気温度センサーを追加




>> サージタンクに追加されるのは圧力センサー。これにより吸入空気量を割り出し、燃料噴射量を導き出しているというわけだ。




>> ニュージーランド製のフルコンLINK G4 STORM。40年以上前の純正コンピューターとは処理速度の違いは比較にならない。レスポンスにも差が出る。


1977年式 日産 フェアレディZ(S31)

SPECIFICATIONS 諸元
■エクステリア:240ZG仕様(Gノーズ、オーバーフェンダー、リアスポイラー)
■エンジン:L20E型改
■吸排気系:メーカー不明マフラー
■点火系:RB25用ダイレクトイグニッション化
■燃料系:ボッシュ製燃料ポンプ
■制御系:LINK G4 STORM
■サスペンション:XYZ
■ホイール:RSワタナベ
■インテリア:ナルディ製ステアリング、電動パワーステアリング、日本精機製タコメーター/Defi追加メーター(水温、油圧、油温)、PLX製A/Fメーター

【3】に続く

初出:ノスタルジックスピード vol.022 2019年11月号
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1977年式 日産 フェアレディZ(全3記事)

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【1】から続く

text : DAISUKE ISHIKAWA/石川大輔 photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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