日本モータースポーツ界におけるポルシェ。その存在の歴史は第1回日本グランプリから始まっていた|スカイラインGT(S54)vs カレラGTS(904)【3】

かつての904を現代の技術で再現し、その走りを満喫させる再現モデルとして非常に価値のある車両だ

       
【特集:日産vsポルシェ スカイラインGT(S54)vs カレラGTS(904)vol.3】

 1948年、オーストリア・グミュントで創業したポルシェは、開業当初からサーキットレースに参戦。高性能スポーツカーを市販するメーカーなら、レースに参戦し好成績を残すことこそ企業としての責務であり、また最大のPRになる、という信念に基づいての活動だった。

 そのポルシェ、日本のモータースポーツ界とは、その元年となる63年の第1回日本グランプリからかかわっていた。ポルシェのレーシングディレクターを務めるフシュケ・フォン・ハンシュタインが356カレラ2で国際スポーツカーレースに参戦。招待選手/車両による、いわば本場のレースを紹介するカテゴリーで、ここでポルシェはA-2クラスのレースを2ヒートともに制覇したのだ。

 ファンの間にポルシェの実力を強烈に焼き付ける内容だったが、第2回日本グランプリではそのポルシェの最新モデルが出現した。それがグループ4スポーツに該当するポルシェ904カレラGTSで、当時の規定では、公道も走れるレーシングカーという車両性格のモデルだった。356カレラ2で使われた水平対向4気筒DOHCエンジンをミッドマウントし、FRP製カウルをかぶせた準レーシングカーだった。

 公認取得に必要な100台に市場の声に応える20台を加えた約120台が生産され、うち10台が901/20系の6気筒エンジン、6台が771系の8気筒エンジンを搭載した。

 904は1964年のシーズン前にすべて生産が完了し、顧客にデリバリーされた。こうした状況から、式場車の準備は、比較的早い時期から始まっていたと見てよいのかもしれない。 

【画像26枚】ポルシェは第1回日本グランプリから日本のモータースポーツに参戦。ここでポルシェは2ヒートレースを完全制覇した


>>エンジンは空冷6気筒を搭載。REIZ904ではオリジナルにはなかった2.7L仕様が搭載されている。基本型は356カレラ2用の4気筒2Lだから、エンジンパフォーマンスは2ランク、3ランク上の仕様となる。燃料供給系はウエーバートリプルチョーク3連装ではなく、PMO製のダウンドラフトタイプ。ポルシェのチューニングキャブレターとしてよく知られたブランドだ。


>>コックピットも原車に対して忠実な再現が試みられている。シートはヘッドレストのないフルバケットタイプ。レーシングカーとしての使用を考慮しながら市販高性能GTカーであることをしのばせるデザインだ。


>>フロントトランクリッド上にはポルシェのエンブレムが、リアエンジンフード上にはカレラ、GTSのエンブレムが装着される。



OWNER

オーナーの情熱、そして米国で起業し、904を高いレベルで仕上げた技術。この2人の合作ともいえる904。まだ細部を詰めている最中であり、彼らの挑戦はまだ続いている。



2018年式REIZ 904


全長:4090mm
全幅:1540mm
全高:1065mm
トレッド前後:1316/1312mm
車両重量:650kg
シャーシー:鋼管スペースフレーム
ボディ:強化FRP製
エンジン種類:空冷水平対向6気筒
総排気量:1990cc
最高出力:210ps
ボア&ストローク:80×66mm
圧縮比:10.5:1
サスペンション:前後とも不等長ダブル・ウイッシュボーン・コイル
ブレーキ:前後ともディスク
タイヤ:前後とも 185/70 VR15


【1】【2】から続く


初出:ノスタルジックヒーロー2018年10月号 Vol.189
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

スカイラインGT(S54)vs カレラGTS(904)(全3記事)

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tex&photo:Akuhiko Ouchi/大内明彦 photo:Ryota Sato/佐藤亮太 Cooperation:Hero Sinoi Cuicuit/ヒーローしのいサーキット

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