高回転まで綺麗に回るL型6気筒用オプションクランク。そのスペシャルなところ【11-2】日産L型6気筒エンジン用 通称「オプションクランク」とは!?

写真右がオプションクランク用のコンロッドで、左がL28型用のノーマルコンロッドだ

       
数ある館長の秘蔵品の中から、今回は日産の「オプションクランク」を紹介する。今では鍛造フルカウタークランクが手に入るご時世だが、当時のレース用スペシャルの実力は!?

【 日産L型6気筒エンジン用 通称「オプションクランク」とは!? 珍車秘宝館 第11回 Vol.2】

【1】から続く

「クランクのウエイトは、ピストンとコンロッドのバランスを取るためにあるので、それを削ってしまうとバランスが崩れるように思いますが、ノーマルよりはるかにキレイに高回転まで回ります。振動が少ないのも特徴ですね。 もちろん、それだけではなくて、クランクピン(コンロッドが装着される部分)の幅も違います。L28型のノーマルが27mmなのに対して、オプションは24mmで狭くなっているんです。当然、コンロッドの幅も狭くなります。これは、クランクピンのオーバーラップ部の肉厚を厚くすることで、クランクの剛性を上げているんです」と館長の解説。

 「オーバーラップ」というのが分からないので説明してもらうと、クランクのジャーナル(中心)とクランクピン(コンロッドの取り付け部)を支持している部分のこと。ここを肉厚にすることで、剛性が大幅に上がるそうだ。

「あと、ノーマルとオプションでは材質も全く違っています。ノーマルを叩くとボスボスという感じですが、オプションはギーンという感じ。おそらくニッケルクロムモリブデン鋼あたりを使っているんじゃないですかね。この頃から日産は鍛造ですが、フルカウンターを作る技術がなかったため、8カウンターだったようです」と推測する館長。現在のフルカウタークランクは削り出しだが、クランクの形状で鍛造するのが理想。ただし、フルカウンターの形状では鍛造ができないため、特殊な技術が必要になるそうだ。

「オイル潤滑にも気をつかって、穴を拡大しています。当時できることは全部やっていたんでしょう」とオプションクランクを手に語る館長だった。

>> 【画像14枚】オプションとノーマルの比較など。オプションのウエイト部分は、斜めにも削られているため、重量合わせの穴が表面に出ている部分もある



プリンスG7型エンジンのクランクは、クランクの支持が2気筒当たり1カ所の合計4ベアリング支持だった。






工作機械や刃物の関係で、7ベアリング支持は作れなかった。



初出:ノスタルジックヒーロー 2018年6月号 vol.187(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

日産L型6気筒エンジン用 通称「オプションクランク」とは!?(全2記事)

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【1】から続く

photo & text : 珍車秘宝館 館長

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