全長わずか8km未満。さまざまなドラマが生まれた「聖地」へ【1】群馬県・榛名山が育むリアル「頭文字D」の世界

山深き峠に降り立った3台のハチロクトレノ

       
今日もどこかで行われている「ロケ地をめぐる聖地巡礼」。作品に対するファンの愛情表現としてすっかり定着している。「頭文字D」における聖地といえば、秋名山(榛名山)。いまや押しも押されぬ人気スポットになったその場所に、劇中さながらのAE86トレノが出没、拓海に迫る走りを見せているという。

【 群馬県・榛名山が育むリアル「頭文字D」の世界 Vol.1】

 群馬県・秋名。「頭文字D」劇中で主人公・藤原拓海を成長させた舞台である。親に命ぜられるままに早朝、できたての豆腐を届けるために走り込んだのが秋名山。豆腐を崩さぬよう細心の注意をはらい、かつ迅速に届ける日常。毎日繰り返される荷重移動のトレーニングが身体に染み込むことで、拓海はドライビングテクニックを開眼させた。

 ごく普通の高校生についた「下り最速」の称号。偶然出会った高橋啓介からバトルを挑まれたのをきっかけに48戦。これが頭文字Dの全バトルの数だ。そのうち、県外遠征までの19戦を、この秋名山で戦い抜いている。

 公道デビュー、そして走り屋へ「覚醒」させたステージ、秋名山。その存在がなければ、藤原拓海というキャラクターは生まれていない。全長にするとわずか8km未満、しかしその変化に富んだ路面のように、さまざまなドラマが生まれた「聖地」なのだ。

 実際の地名である「榛名山」へは、拓海の「残像」を追って今日も多くのファンが訪れる。劇中、バトルスタート地点だった頂上の鉄塔は、いまや記念写真の定番スポットになっている。

 そんな榛名山に、劇中から抜け出したかの如く、ただものではないオーラが漂うAE86トレノが集結した。この「3車3様」のパンダトレノ、安直に「藤原とうふ店」デカールを貼り、ワタナベを履いただけのエセ拓海仕様でないことは一目で分かる。


>> 【画像17枚】プリウス用を流用した電動ファンなど。以前装着したエキマニは割れてしまい、1号機からコンバートした。同じAE86乗りの若者同士が助け合う姿は美しい。



【リアル拓海・19歳】
リアル拓海くん。真剣に腕を磨くためタイヤには妥協したくない……が、高いグリップの代償に減りの早いポテンザRE-71Rが財布を直撃。半年ごとのタイヤ交換費用をどう捻出するかが現在の悩み。ちなみに今回一緒に取材した親子と同じく、リアル拓海くんの父親も元AE86乗り。英才教育のたまものだ。




>> メーターパネルは自作。DIYで節約しながら毎週榛名に通い、ひたすらドラテクを磨く。



【2】に続く

初出:ハチマルヒーロー 2016年 7月号 vol.36
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

群馬県・榛名山が育むリアル「頭文字D」の世界(全3記事)

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text:KIYOSHI HATAZAWA/畑澤清志 photo:SATOSHI KAMIMURA/神村 聖

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