7年の間にPGC10を3台、KPGC10を4台も入れ替えたオーナー【2】1971年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-R

赤でも朱色でもない、独特のオレンジがかった赤で塗装されたヘッドカバーは、SEで仕上げたあかしだ。もちろん、純正の結晶塗装も行なっている。エンジンの中身は、S20型のスタンダードとなる2LのSE仕様だ

       
数々の栄光を打ち立てたGT-Rだが、生産から40年以上もたつクルマを維持するには技術と知識が必要だ。
そんな全国のGT-Rオーナーが一目置く、匠と呼ばれたのがシライシエンジニアリングの白石茂樹さん。
残念ながら2016年10月に亡くなったが、白石さんが手がけたGT-Rは、今もなお輝き続ける。

【 1971年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-R Vol.2】

【1】から続く

 今回紹介するシライシエンジニアリング(SE)で仕上げられたKPGC10は、白石茂樹さんが元気な頃に仕上げた1台だ。オーナーは、紆余曲折を経て、SEにたどり着き、ようやく満足できる1台を手に入れることができたそうだ。

「小学校の頃は、高知が舞台の漫画『シャコタン☆ブギ』が大好きで、ジュンちゃんのハコスカにあこがれていました。中学生になってR32でGT‐Rが復活し、雑誌やビデオでもハコスカGT‐Rの特集が組まれ、そのころに将来はハコスカに乗ろうと決めました」

 就職してR32タイプMやGT‐Rを所有していたが、2001年にPGC10を入手。ここからがイバラの道で、2001年〜2007年の間にPGC10を3台、KPGC10を4台も入れ替えることになる。

 そして、隣県にSEがあるのを知り、その時に所有していたKPGC10をレストアしてもらおうと訪ねたのだ。

「クルマを預けても、1年くらい全然やってくれないんです。白石さんに聞くと、『ボディがあきまへん』という返事で、どうしようもなかったんです。その後しばらくして、今のボディが出てきたんです。『コレやったらお金かけても腹は立ちませんなぁ』ということで、ボディからひと通りやってもらい、完成まで3年くらい待ちました」

>>【画像18枚】白い針が特徴で、スピードメーターの警告ゾーンが細いタイプとなる1971年式のメーターや、基本的にはノーマル志向だが、ダッツンコンペステアリングとシートを装着しているコックピットなど。レース用ワイドミラーはSEで内部を修理したという




>> キャブは純正ソレックス40PHHで、エアクリーナーも装着。ただし、ウエーバーに交換予定だ。





>> タコ足も撮影時は純正だったが、SE製に交換する予定だ。


1971年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-R


Specification 諸元
全長 4460mm
全幅 1665mm
全高 1370mm
ホイールベース 2610mm
トレッド前/後 1370 / 1365mm
最低地上高 160mm
室内長 1655mm
室内幅 1325mm
室内高 1110mm
車両重量 1100kg
乗車定員 5名
最高速度 200km / h
登坂能力tanθ 0.58
最小回転半径 5.2m
エンジン型式 S20型
エンジン種類 水冷直列6気筒DOHC
総排気量 1989cc
ボア×ストローク 82.0×62.8mm
圧縮比 9.5:1
最高出力 160ps / 7000rpm
最大トルク 18.0kg-m / 5600rpm
変速比1速 2.957 / 2速 1.858 / 3速 1.311 / 4速 1.000 / 5速 0.852 / 後退 2.922
最終減速比 4.444
燃料タンク容量 100L
ステアリング形式 リサーキュレーティングボール
サスペンション 前/後 コイルスプリング式独立懸架ストラット / コイルスプリング式独立懸架セミトレーリングアーム
ブレーキ 前/後 ディスク / リーディングトレーリング
タイヤ前後とも 6.45H-14-4PR
発売当時価格 154万円


【3】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2018年2月号 Vol.185
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1971年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-R(全3記事)

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【1】から続く

photo : RYOTA-RAW SHIMIZU(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックス ブックス)

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