谷口信輝が語る、自分らしいスタイルのクルマがある暮らし。|Taniguchi Nobuteru MY(LIFE)STYLE.

「もちろんこれが全員の正解ではないよ」と、彼は言う。

       

以前はもっと強調したチューニングをしていたそうだが、今では自分のスタイルを楽しみながらも、TPOを選んでいるという。特にこのAMG GTは、仕事から今日のような銀座へのショッピングまで、幅広く使うモデル。自分のスタイルのルールを満たしながらも、どんなシーンにも合うように注意を払っているという。もちろん、谷口選手は、他にもサーキットで思い切り楽しめるクルマを持っているからこそ、よりAMG GTを引き立てる術も知っているのだろう。
「私も谷口さんのように自分に合うスタイルを見つけてみたいです」と話すと、「でも、いろいろ手は入れているよね」と谷口選手。たしかに、私の愛車は、サーキットを走るための装備を入れたり、アライメントを調整したりしている。しかし、それはあくまで必要最低限の装備であり、まだまだ自分らしいスタイルには辿り着けていない。
「性能とスタイルのバランスが取れるようになるまでは、どんなパーツがどんな風に使えるのか、少しずつ勉強していくのも楽しいと思うよ」と谷口選手。
 彼にとって、クルマのスタイルを仕立てることは、自分を表現することと一緒だという。好きな服や靴を選ぶのと同じように。そして、それらのコーディネートを楽しむように。
「メーカーから出されたものを、そのまま乗るのはもったいないんじゃないかな」と彼は言う。自動車メーカーが作り出すクルマは、誰でも受け入れてはくれるが、あくまでも万人向けであって、自分ひとりのために作られたものではない。
 そうやってフラットにならされた性能を、自ら美しく引き立てるもよし、土台から手を加えて、さらなるパフォーマンスを追求するのもよし。自分のひとさじで、クルマはよりおいしく魅力的になる。その味わいを積み重ねることが、谷口選手のようにどんなクルマでも着こなす自分のスタイルへとつながっていくのだろう。


初出:MOTOR THINGS / モーターシングス ISSUE01 2022年12月発売
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

photo:吉森慎之助、text:伊藤 梓

RECOMMENDED

RELATED

RANKING