夢ではないかと何度も夜中にガレージへ|1972年式 日産 ローレル HT 2000 GL-6【3】大人がたしなむ旧車チューンド

丸形4灯のうち内側のイエローバルブがハイビーム用。あえてフェンダーミラーのままという仕様もやりすぎを避けた方向性から

       

雑誌で見て、あこがれていた
ローレルグリーン×ブラウンの有名車を
自分好みにチューンナップする楽しみ

10数年前に雑誌で見かけた、うぐいす色に似た薄いグリーンのボディに、埋め込み式のヘッドレストと縦にタックの入った赤茶系のブラウンのシートを持つ1台。あこがれ続けたクルマそのものに出合い、所有することになる。あらためてローラと名付けられた1台は、やりすぎず手を入れないこともない、ほどほどを知る大人の仕様。いつかオーナーのローレルと呼ばれる日が来るのかもしれない。

【 1972年式 日産 ローレル HT 2000 GL-6 Vol.3】

【2】から続く


「あのローレルが手元に来ることになり、夢のようでした。しばらくの間、夢ではないかと何度も夜中にガレージへ行き、そこにあるクルマを確認しに行ったぐらいです」とオーナー。

 手に入ってすぐ4速ミッションを5速化。オーナーは雨の日は乗らない、走ってきたらその度に掃除をするというように、このローレルを大事にしているが、全く乗らないわけではない。それだけに高速巡航時などに、トップの4速でエンジンがうなりを上げるのは耐え難かったのだ。

 その後、15インチだったホイールを14インチに。オーナーは、「もともと、ホイールはハヤシが付いていました。それを同じハヤシのテクノレーシングに入れ替えたんです。リアはストックしていた当時物。フロントはどうしても見つからず、復刻版を手に入れました。ローレルはフロント8Jに185/55R14、リアは9Jに195/60R14。これがイチバンのオススメサイズといわれているんです」という。



>>【画像15枚】エンジン本体はL20型からL28型へと換装されているものの、ヘッドやブロックなどはノーマルのままで、チューンナップは今後の楽しみにとっておいてあるそうだ


 そのフォルムは、S130Z用のストラットをアレンジして流用した車高調を使ってローダウンはしているものの、低すぎず、フェンダーアーチへのかかり具合も絶妙なもの。リアは当時の日産車らしく下げると自然とネガキャンがつく。それをいかした仕上げだ。あえてオーナーはフェンダーミラーのまま、フェンダーもツメ折りなどの処理は行わず走っている。

 エンジンルームには、ソレックス44PHHにトラストの排気系が装着されたL28型改が鎮座する。セルモーターをRB用に交換し、クーラーのコンプレッサーはジャパン用にそれぞれアップデートされている。クーラー本体は往年の吊り下げ式を調達した。合わせてブレーキもS130Z用を入れて制動力をアップさせている。
 よく走り、よく整備する。購入当初のある日、車両の年式と同じ昭和47年の100円玉がフロアから出てきた。偶然とはいえ、その後はお守りのようなものになっている。

 ローレルグリーンの外装とブラウン内装の組み合わせは、グレードとしては存在しないようだ。ブラウン内装は白か銀のボディに組み合わされるもの。オリジナルに戻せるモディファイだけに、オーナーは白に塗り替えることも検討したという。しかしこのローレルはそのコーディネートがあったからこそ、オーナーの目にとまったともいえる。そしてオーナーの手元に来て、ローラという新しい名前をもらった。押し付けがましくはないが華のあるカラーに、飾り立てないすっぴんメイクで勝負できるような容姿をもったローレルは、オーナーというパートナーを得て、これからもその美しさを街にふりまいて走るだろう。



>> エンジンルームの中まで美しいコンディションを保っている。R31用のセルモーターへ交換。かゆいところに手が届くモディファイだ。


OWNER

趣味のクルマを楽しむために、勤務先の社長に直談判し副業を認めてもらい、会社とアルバイトをかけ持ちした生活を続け、念願のローレルを手にしたオーナー。今では旧車乗りが集まる「頑固おやG」の代表をしており、真剣な中にも遊び心を持って旧車を楽しんでいる。



1972年式 日産 ローレル HT 2000 GL-6(KHC130)

SPECIFICATION 諸元
■エクステリア:ローレルグリーンオールペイント
■エンジン:L28型載せ替え
■吸気系:ソレックス44PHH
■排気系:トラスト製タコ足(φ42.7㎜)/デュアルマフラー
■冷却系:3層ラジエーター
■サスペンション:S130Z純正ストラット加工車高調、ピロアッパーマウント
■ブレーキ:S130Z用ブレーキ流用
■インテリア:ダッツンコンペステアリング、吊り下げ式クーラー(当時モノ)、
ジャパン用クーラーコンプレッサー流用
■タイヤ:ファルケンZIEX-ZE912(F)185/55R14 (R)195/60R14
■ホイール:ハヤシレーシング テクノレーシング(F)14×8J (R)14×9J





初出:ノスタルジックスピード vol.019 2019年2月号
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 日産 ローレル HT 2000 GL-6(全3記事)


関連記事:大人がたしなむ旧車チューンド

関連記事:ローレル



【1】【2】から続く

text : NORIO FURUKAWA/古川教夫(カチくる) photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

RECOMMENDED

RELATED

RANKING