レザートップのセダンをフルチューン【3】ドリルでタッピングビスを打ち込む荒業で補強!|1969年式 日産 スカイライン 2000GT|大人がたしなむ旧車チューンド

優雅なムードをかもし出すレザートップのルーフ。あまりにもきれいなため、最近貼ったものかと思ったが、新車時にオプション装着されたもの。現在もここまできれいに残っているのは、まさに奇跡といえる

       

プロならではの技術とノウハウを惜しみなく投入
あえてレザートップの4ドアセダンをフルチューン

鍛造ピストンにフルカウンタークランクといった高級品を使うのではなく、LD28型クランクによる3.1L化など、コストを抑えたチューニングが施されたイザワテイストのハコスカ。一見、プライベーターでも真似できそうな内容だが、長年つちかった技術とノウハウが注ぎ込まれている。しかも、ベース車はあえて珍しいレザートップのセダンをチョイス。いざサーキットに持ち込めば、抜群のパフォーマンスを発揮する!

【 1969年式 スカイライン 2000GT Vol.3】

【2】から続く


「そら高価なパーツを使ったらもっと速くすることはできるんやけど、その分お金もいっぱいいりますやん。このクルマみたいに手軽なパーツを使ってても、ちゃんと組んでやったら楽しめるクルマになります。もちろんエンジンの組み立てにはうちならではのノウハウが入ってるんやけど、それは残念ながら企業秘密で教えられませんわ」と井澤さん。そのコメント通り、ボディ重量は2ドアに比べて不利な4ドアにもかかわらず、セントラルサーキットでは1分32秒台、岡山国際サーキットでは1分50秒台のタイムをマークする実力を持ち合わせている。

 さらに、このハコスカで最もユニークかつ大胆なチューニングが施されているのがボディの補強だ。サーキット走行を前提とするならばボディ補強は必須メニューだが、なんと、ボディの継ぎ目にドリルでタッピングビスを打ち込むという荒技で補強を行っているという。中古価格が高騰した現在では決してやろうと思わない。

 またフロント両サイドに装着されたカーボン製カナードは、FD3S用のフロントスポイラーを加工したもの。さらにサーキットではライトのガラスが飛散するのを防止するライトカバーを装着することで、かつてのツーリングカースタイルを再現している。

 レザートップによる端正なフォルムと、かつてのやんちゃなレーシングスタイル、同じクルマでありながら全く異なる2つのスタイルが味わえるのも、このGC10の大きな魅力だろう。

>>【画像34枚】ほとんどのボディの溶接部に打ち込まれたタッピングビス。すでに20年近くがたち、その間にサーキット走行を何度も行っているにもかかわらず、ビスが緩む気配はないそう



>> ヘッドカバーのオイルキャップは、緩んでオイルを吹かないようにワイヤーロックで回り止めを施す。





>> フロントはR32タイプMの4ポットキャリパーに、S2000用のφ300mmローターの組み合わせ。またブレーキパッドは、イザワテイストのオリジナルを使用する。




OWNER


以前住んでいた家の前にあったクルマ屋に止まっていたのが、このハコスカです。当時はお客さんのクルマだからと売ってくれなかったんですが、その後、譲ってもらうことができました。それから20年間このハコスカと付き合ってきました。特別なパーツは使っていませんが、サーキットでも十分楽しくて速いクルマに仕上げています。



IZAWA TASTE

null
〒563-0025
大阪府池田市城南3-2-14
TEL072-754-2300
営業時間10:00〜20:00
定休日 木曜日

1969年式 スカイライン 2000GT (GC10)
SPECIFICATION 諸元
■エクステリア:純正レザートップ、リスタード製カーボンリアオーバーフェンダー、ラバーソウル製カーボンボンネット/カウルトップ/リアガーニッシュ、FD3S用カーボン製サイドカナード
■エンジン:L28型改3.1L仕様(ボアφ89mm×ストローク83mm、圧縮比12.2)、亀有製φ89mm鋳造レーシングピストン/I断面コンロッド/77iカムシャフト/バルブスプリング/ビッグバルブ(INφ45φmm、EXφ36.5mm)/クロモリリテーナー、LD28型クランク改、ヘッド2mm面研
■吸気系:ソレックス50PHH(カールファンネル仕様、メイン240、パイロット70、エア220)
■排気系:ワンオフマフラー、亀有製φ45mmタコ足(6-2-1)
■点火系:亀有製デストリビューター(35度固定進角)、NGK製プラグコード/7番プラグ
■冷却系:3層ラジエーター、HPI製オイルクーラー
■燃料系:ホーリー製燃料ポンプ、オリジナルステンレス燃料タンク(50L)
■駆動系:OS技研製ツインクラッチ、S71Cフルクロス加工、R200LSD(ファイナル4.1)、S30Z用クラッチマスターシリンダー、亀有製デフメンバー
■サスペンション:エナペタル製車高調(F)10kg/mm (R)19kg/mm、亀有製強化ブッシュ、シルクロード製テンションロッド、ARC製前後スタビライザー、
■ブレーキ:R32タイプM用フロントキャリパー、S2000用φ300mmローター、HR30用リアディスク&キャリパー、ケンメリ用マスターバック、7/8マスターシリンダー
■インテリア:AME製A/Fメーター、オートメーター製タコメーター、亀有製追加メーター(油温/油圧/水温計)、HKS製サーキットカウンター、レカロ製バケットシートSP-G(運転席)/セミバケットシートLS(助手席)、サベルト製4点式ハーネス、11点式ロールケージ
■タイヤ:ヨコハマ アドバンA050(F)215/50R15 (R)225/50R15
■ホイール:RSワタナベ 8スポークRタイプ(F)15×8.5J -6 (R)15×10J -25



初出:ノスタルジックスピード vol.019 2019年2月号
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1969年式 日産 スカイライン 2000GT(全3記事)


関連記事:大人がたしなむ旧車チューンド

関連記事:スカイライン



【1】【2】から続く

text : SHINYA KUSHIURA/串浦愼哉 photo: : RYOTA-RAW SHIMIZU(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックス ブックス)

RECOMMENDED

RELATED

RANKING