310ターボ 231㎰【3】フルコンによって、過給圧をあげなくても乗りやすくできるように|1978年式 日産 サニー 1400 クーペ SGX-E

タコメーターを純正品からピボットのステッピンモータータイプに交換。その左、ステアリングコラムの上にはブリッツのブースト計を置く

       
発売から50年以上たった今なお、A型エンジンはその限界を見せてはいない。その証拠に最新のフルコンピューターと熟練職人が作ったパイピングは、A14型をパワフルで、しかも乗りやすいターボチューンドに変ぼうさせてしまった。しかもボディは、レースシーンを思わせるオバフェン付きのクーペ。これを見ずして現代のA型シーンは語れない!

【1978年式 日産 サニー 1400 クーペ SGX-E Vol.3】

【2】から続く

 インジェクションの話が出たところで、こちらについても触れておこう。引き続き常陸さんの話だ。

「昔もA型にターボを組むクルマはありました。しかし、当時のコンピューターは制御が完璧ではなかったのです。それが今、性能が良く、価格も抑えられたフルコンが出てきたため、ブーストコントロール、ノックリタード等を使って制御できるようになり、過給圧をそれほど上げなくても乗りやすくすることができるようになりました。

 今回の310ターボはブースト1kg/㎠の状態で231㎰を発揮します。最大トルクの27.3kg︲mは5500rpmあたりで発生。レブリミットは7000rpmです。これをステージ1とし、スイッチ1つでブーストを1.2kg/㎠にあげるステージ2もセットしていますが、パワーよりもトルク重視でのセットアップにしていますので、パワーは変わらず、トルクを30kg︲mに上げるセッティングとしました。むやみに回転数を上げてもエンジンに負担を強いるだけですから」


>>【画像31枚】クーリング関係のパーツが置かれているフロントグリル直後のスペースなど。左はトラスト製16段オイルクーラーで、「上がり気味だった油温が落ち着いた」と、装着の効果は上々だ。右はターボのインタークーラー。左右ではなく、右側だけから出し入れができる形状の都合のよさから、ハイエースの純正パーツを流用したそう




>> 黒を基調としたインテリアは、落ち着きと機能性を両立させている。その核をなすステアリングには、モモ・プロトティーポが選ばれた。





>> 本来ラジオがある位置をカスタムして、左から油温/油圧、水温のメーターを設置。2つのメーターの間にあるランプは上が油温を、下が油圧の状態を点滅スピードで知らせる。水温計の下のランプは赤が水温上昇、緑が適温、青が冷えている状態を示す。






>> センターコンソールに置かれたレノボのタブレットには、ECUから送られてくる水温、油温、油圧、エンジン回転数、点火時期などの情報が表示される。





>> フロントシートは運転席も助手席もレカロに変更されているが、運転席のほうにより高いホールド性を持たせた。4点式ハーネスはサベルトだ。





>> SR20型純正タービンにワンオフパイピングを合わせ、 231ps/30kgfmをストレスなく発揮

1978年式 日産 サニー 1400 クーペ SGX-E(B310)


SPECIFICATION 諸元
■エクステリア:VW純正タングステンシルバーオールペイント、リスタード製FRPボンネット(ボンネットピン位置変更)/FRPバンパー/FRPフロントフェンダー/FRPリアハッチ、ピットロード・FRPフロントスポイラー/FRPオーバーフェンダー、レイブリック製ヘッドライト、グリル一部アミ張り、バンパーブラケット短縮加工、110サニー用フェンダーウインカー裏付け、バイク用カーボンドアミラー
■エンジン:A14型用ブロック、φ76.5mmピストン、H断面クロモリコンロッド、A15型用クランク、JUN製ターボ用スペシャルカム68度、1.2mm特注φ78mmメタルガスケット、まつおか製強化バルブスプリング、ポート段付き修正、ヘッド面研、バルブフェイス修正、燃焼室合わせ、Aファクトリー製オリジナル大容量オイルポンプ/サージタンク/フロントカバー、SR20型用クランク角センサー、オイルパンバッフル加工、強化エンジンマウント、クスコタワーバー/オイルキャッチタンク
■吸排気系:SR20型ターボ用スロットルボディ、Aファクトリー製オリジナルφ60mmフロントパイプ/オリジナルマニホールド、SR20型ターボ用タービン、トラスト・ブローオフバルブ、UKAファクトリー製オリジナルφ50mmマフラー&バルブ開閉式サイドマフラー
■点火系: RB26型用ダイレクトイグニッションコイル
■冷却系:トラスト製AE86用アルミ3層ラジエーター、トラスト製16段オイルクーラー、ハイエース用インタークーラー流用
■燃料系:Aファクトリー製フューエルレール/オリジナルインジェクターアダプター/インジェクターブロック、VQ型エンジン用360ccインジェクター×4、ボッシュ製燃料ポンプK979、サード・レギュレーター
■電気系:リンク製G4ストームECU
■駆動系:ニスモ製強化クラッチ/クラッチカバー、純正フライホイール軽量加工&バランス取り、Aファクトリー製オリジナルクイックシフト
■サスペンション:(F)まつおか製フルタップ車高調キット/強化スタビライザー (R)まつおか製ダウンサス/8段調整ショック
■ブレーキ:(F)ウィルウッド製4ポットキャリパー/φ257mmスリットローター/ステンメッシュホース (R)エンドレス製ブレーキシュー
■タイヤ:ナンカン NS-2R(F)175/50R13 (R)175/60R13
■ホイール:RSワタナベ (F)13×8J -6 (R)13×9J -19
■インテリア:モモ製プロトティーポステアリング、ピボット製タコメーター、ブリッツ製ブースト計、ワンオフ油温計/油圧計/水温計、レノボ製10インチタブレット、PLX製空燃比計、レカロ製バケットシート、サベルト製レーシングハーネス、ニスモ製レッドステッチ本革製シフトブーツ、リアシート撤去、サイトウロールケージ製斜行バー付き4点式ロールケージ




【4】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2018年11月号 vol.018
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1978年式 日産 サニー 1400 クーペ SGX-E(全4記事)

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【1】【2】から続く

text : AKIO SATO/佐藤アキオ photo : RYOTA SATO(SAKKAS)/佐藤亮太(サッカス)

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