ECU点火制御のハイブリッド仕様S130Z【2】エンジンはL28型をベースに、亀有エンジンワークス製パーツがふんだんに組み込まれた3.1L仕様|1980年式 日産 フェアレディZ

ブラックを基調に、センターに追加メーターがずらりと並んだスポーティーなインテリア。ダットサンコンペのステアリングも当時を思わせる逸品

       

ECU点火制御のハイブリッド仕様S130Z|チューンドZ最前線

亀有エンジンワークス製のパーツをメインに、L28改3.1Lのレーシングエンジンをプライベートで組み上げたS130Z。その珠玉のエンジンをさらに進化させるべく、アナログなキャブレター仕様はそのまま、点火時期をコンピューター制御へとアップデート。キャブレター特有の気難しさを解消しつつ、キャブならではの味を損なわないハイブリッド仕様が完成した。

【1980年式 日産 フェアレディZ Vol.2】

【1】から続く

 その後、L28型改3Lを搭載したハコスカを手に入れたオーナー。ところが、せっかくハコスカを手に入れたものの、S30Zへの興味が日に日に強くなっていき、ついにはS30Zを探すためにハコスカを手放してしまう。ちょうどそれと時期を同じくしてヨンメリのオーナーも4ドアのケンメリを購入。S130Zの売却を考えるが、手塩にかけて育てた愛車が、遠くに行ってしまうのはイヤだったそうだ。そこで白羽の矢がたったのが、付き合いも長く家も近所であったオーナーというわけだ。

「S30Zを探してたので、初めはどうしようかとも思ったんですが、クルマはもちろんよく知ってましたので、譲ってもらうことにしました」
 こうしてヨンメリのオーナーから真っ赤なS130Zはオーナーに引き継がれることになった。エンジンはL28型をベースに、亀有エンジンワークス製パーツがふんだんに組み込まれた3.1L仕様。以前所有していたハコスカは3L仕様で、排気量にしてみればわずか100ccの違いでしかない。

「フルカウンタークランクまで使われたフルチューンエンジンは、まるで次元が違うんです。排気量を感じさせない回転レスポンスはもちろん、低回転からストレスなく加速する扱いやすさにも驚きました」とオーナー。そんな極上のエンジンをさらに進化させるべく、ヨンメリのオーナーと二人三脚で取り組んだのが、ECUを使ったダイレクトイグニッション化。つまり燃料噴射こそアナログなソレックスを使うものの、繊細な点火時期はコンピューターに任せることで、より効率のよい燃焼を促そうという狙いだ。

>>【画像39枚】純正メーターパネルの水温計を取り外し、PLXの空燃比計を装着。マニア垂涎の貴重なパーツが並ぶインパネ。Zスポーツ製の300km/hメーターや10000rpmまで刻まれたタコメーターなど





>> センターのオートメーター製3連メーターは、左から水温/油圧/油温計。視認性を考え、やや左に傾けたインストールもポイント。




>> 灰皿横には電圧と燃圧計を設置。さらにオルタネーターの発電不足を警告するランプも備わる。





>> ブラックレザーで張り替え、高級感を演出するレカロシート。




1980年式 日産 フェアレディZ(S130)
SPECIFICATIONS 諸元
■エクステリア:FRPボンネット(ダクト入り)、フロントアンダースポイラー、純正フロントフェンダーダクト加工、Bピラーペイント加工、亀有製リアスポイラー、S30Z用オーバーフェンダー加工装着
■エンジン:L28型改3.1L仕様(圧縮比12.3)、亀有エンジンワークス製φ89mmピストン、ビッグバルブ(INφ46mm/EXφ38mm)/I断面138mmコンロッド/カムスプロケット/バルブスプリング/リテーナー/ヘッドガスケット、クロワー製フルカウンタークランク
■吸排気系:ソレックス50PHH×3(メイン280/エア200/パイロット80)、柿本改製タコ足(6-2-1)、φ76mmワンオフステンレスマフラー
■点火系: RB25(NEO6)型用クランク角センサー/ダイレクトイグニッション、Y32純正ECU(ROM打ち替え)
■冷却系:特注アルミ2層ラジエーター、FC3S用オイルクーラー
■燃料系:Z32用燃料ポンプ、燃料レギュレーター×2(SK製、ホーリー製)
■電気系:オプティマドライバッテリー、R32スカイライン純正オルタネーター
■駆動系:OS技研製スーパーシングルクラッチ、FS5W71Cミッション(フロントケースは71B)、R200純正LSD(ファイナル4.1)、R31用ドライブシャフト
■サスペンション:(F)Y’s製ショックアブソーバー車高調加工(バネレート8kg/mm) (R)トラスト製R32用フルタップ式車高調(バネレート6kg/mm)
■ブレーキ:R32純正マスターシリンダー流用 (F)R30スカイライン純正キャリパー、ディクセル製ローター (R)R32スカイラインタイプMキャリパー/R32用ローター(インナードラムごと流用)
■インテリア:ダッツンコンペテアリング、レカロ製バケットシート(レザー張り替え)、Zスポーツ製タコ/スピードメーター、オートメーター製油圧/油温/水温/電圧/燃圧計、PLX製空燃比計、工業用温度計、電動パワーステアリング
■タイヤ:トーヨータイヤ プロクセス(F)205/50R15 (R)225/50R15
■ホイール:RSワタナベ エイトスポーク(F)15×9J -13 (R)15×10J -25



【3】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2018年8月 vol.017
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1980年式 日産 フェアレディZ(全4記事)

関連記事: チューンドZ最前線

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【1】から続く

text : SHINYA KUSHIURA/串浦愼哉 photo : RYOTA-RAW SHIMIZU(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックス ブックス)

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