ECU点火制御のハイブリッド仕様S130Z【3】Y32のクラセンがほぼボルトオン! プライベートで仕上げたフルチューンZは、キャブレターとECU点火のハイブリッド仕様|1980年式 日産 フェアレディZ

L28型改3.1Lフルチューンで普段使い可能な究極の完成度のパワーユニットと制御系

       

ECU点火制御のハイブリッド仕様S130Z|チューンドZ最前線

亀有エンジンワークス製のパーツをメインに、L28改3.1Lのレーシングエンジンをプライベートで組み上げたS130Z。その珠玉のエンジンをさらに進化させるべく、アナログなキャブレター仕様はそのまま、点火時期をコンピューター制御へとアップデート。キャブレター特有の気難しさを解消しつつ、キャブならではの味を損なわないハイブリッド仕様が完成した。

【1980年式 日産 フェアレディZ Vol.3

【2】から続く

 燃料噴射こそアナログなソレックスを使うものの、繊細な点火時期はコンピューターに任せることで、より効率のよい燃焼を促そうという狙いで、ヨンメリのオーナーと二人三脚で取り組んだのが、ECUを使ったダイレクトイグニッション化。

 チューニングで使われるECUといえば、すぐにモーテックなどが思い浮かぶ。しかしこのダイレクトイグニッション化に使われるECUは、V型6気筒エンジンを搭載したセドリックの純正品。フルコンとして優れたモーテックでも、それでエンジンを動かそうとすると、センサー類を装着する必要があり、さらに燃料制御もモーテックで行う、つまりインジェクション化が一般的だ。ところが、オーナーのL型エンジンは、吸気系はキャブ仕様のままでいくため、モーテックは宝の持ちぐされとなってしまう。

 そこで、日産純正ECUを確認したところ、機能は劣っているものの、点火時期だけを制御させるのであれば十分と判断。そこで、純正のデスビが装着される部分に、Y32の純正クランク角センサーを移植。ただし、いくら同じ日産車とはいえ、V型 とL型では互換性が心配されたが、軸径はもちろんスプラインまでも同じで、ほぼボルトオン感覚で装着できたという。製作時にちょっとしたマイナートラブルはあったものの、ダイレクトイグニッション化が完成。

「エンジンをかけた瞬間に違いが分かりました。すごくスムーズで、これまでのデスビ仕様とは全然違い、まるで普通のクルマのエンジンをかけているようです」とオーナー。

>>【画像39枚】純正ラジエーターを2層加工し、ピカピカに磨き上げている。電動ファンではなく、あえて純正のカップリングファンを使用しているのも、ファンとラジエーターの接触トラブルを防止するためなど




>> 磨き上げられたソレックス50PHHを装着。ポンプジェット噴霧口は5穴に加工しているのがポイント。上を通る燃料デリバリーパイプはワンオフで製作。




>> ラインナップの豊富なRB型エンジンの中で、イグナイターを内蔵したNEO6用のダイレクトイグニッションを流用。






1980年式 日産 フェアレディZ(S130)
SPECIFICATIONS 諸元
■エクステリア:FRPボンネット(ダクト入り)、フロントアンダースポイラー、純正フロントフェンダーダクト加工、Bピラーペイント加工、亀有製リアスポイラー、S30Z用オーバーフェンダー加工装着
■エンジン:L28型改3.1L仕様(圧縮比12.3)、亀有エンジンワークス製φ89mmピストン、ビッグバルブ(INφ46mm/EXφ38mm)/I断面138mmコンロッド/カムスプロケット/バルブスプリング/リテーナー/ヘッドガスケット、クロワー製フルカウンタークランク
■吸排気系:ソレックス50PHH×3(メイン280/エア200/パイロット80)、柿本改製タコ足(6-2-1)、φ76mmワンオフステンレスマフラー
■点火系: RB25(NEO6)型用クランク角センサー/ダイレクトイグニッション、Y32純正ECU(ROM打ち替え)
■冷却系:特注アルミ2層ラジエーター、FC3S用オイルクーラー
■燃料系:Z32用燃料ポンプ、燃料レギュレーター×2(SK製、ホーリー製)
■電気系:オプティマドライバッテリー、R32スカイライン純正オルタネーター
■駆動系:OS技研製スーパーシングルクラッチ、FS5W71Cミッション(フロントケースは71B)、R200純正LSD(ファイナル4.1)、R31用ドライブシャフト
■サスペンション:(F)Y’s製ショックアブソーバー車高調加工(バネレート8kg/mm) (R)トラスト製R32用フルタップ式車高調(バネレート6kg/mm)
■ブレーキ:R32純正マスターシリンダー流用 (F)R30スカイライン純正キャリパー、ディクセル製ローター (R)R32スカイラインタイプMキャリパー/R32用ローター(インナードラムごと流用)
■インテリア:ダッツンコンペテアリング、レカロ製バケットシート(レザー張り替え)、Zスポーツ製タコ/スピードメーター、オートメーター製油圧/油温/水温/電圧/燃圧計、PLX製空燃比計、工業用温度計、電動パワーステアリング
■タイヤ:トーヨータイヤ プロクセス(F)205/50R15 (R)225/50R15
■ホイール:RSワタナベ エイトスポーク(F)15×9J -13 (R)15×10J -25


【4】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2018年8月 vol.017
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1980年式 日産 フェアレディZ(全4記事)

関連記事: チューンドZ最前線

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【1】【2】から続く

text : SHINYA KUSHIURA/串浦愼哉 photo : RYOTA-RAW SHIMIZU(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックス ブックス)

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