TC16-MA1/2を元祖とする、進化バージョンがTC16-C1|1969年式 ダットサン ブルーバード SSS Vol.6

TC16-MA1/2を元祖とする、進化バージョンがTC16-C1

       
あこがれのエンジンを楽しむために旧車乗りになった。そんな一風変わった510ブルーバードのオーナーが九州にいる。彼をとりこにしたエンジンはL型4気筒ベースとなるOS技研のTC16-C1。兄貴分の6気筒TC24-B1の後発でリバイバルが望まれるも、いまだ正式な発表のない幻のハイレブパワーユニット。現在、世界に1基だけの究極のL型4気筒を、彼はいかにして手に入れ、どう味わうのか。せん望のTC16-C1ライフを紹介する。

【1969年式 ダットサン ブルーバード SSS Vol.6】

【5】から続く


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復活バージョンでは6気筒が先発となったOS技研のTCユニットだが、4気筒バージョンのTC16-C1は、2014年から開発が進められていた。ベースエンジンはL18型で、ボア×ストロークはφ89mm×78mm。排気量は1940ccとなる。





6気筒のTC24-B1Zのコンセプトを踏襲し、カムカバー、カムホルダー、カムシャフト、エキマニなどは専用設計となるが、ロッカーアーム、バルブまわり、インマニなどはTC24と同じパーツを共用する。





整然と並んだカムギアトレインも、TC24から受け継がれている。TC24のストロークが86mmなのに対し、TC16は78mmのショートストロークのため、9000〜10000rpmオーバーを許容する超高回転ユニットとなる。パワーは250ps、トルクは25kg-m。このスペックは、70年代に製作したTC16-MA1/2と同等らしく、その当時も10000rpmを回していた。





左が今のTC16-C1で、右がOS技研の倉庫に眠っていた元祖TC16-MA1/2のヘッド。C1とMA1/2では、点火順序が異なる。MA1/2は1→2→4→3なのに対し、C1は1→3→4→2を採用。





MA1/2は、ロッカーアームシャフトをカムの外側に通しているが、C1はTC24と同様、カムの内側に通すため幅が狭くなった。




MA1/2とC1の最大の違いは、吸排気のレイアウトが反転している点。当時、L型と逆傾斜にすると、ミッションを用意するのが難しかったため。燃焼室は薄いペントルーフで、バルブ挟み角は20度だ。



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1969年式 ダットサン ブルーバード SSS(P510)
SPECIFICATIONS 諸元
■ エクステリア:リスタード製FRPボンネット/カウルトップ/フロントフェンダー/トランク
■ エンジン:OS技研TC16-C1、ボアφ89mm×ストローク78mm(1940cc)、圧縮比13.5:1、OS技研鍛造ピストン、L14型用コンロッド(フルフロー加工、SQ処理)、L18型用フルカウンタークランク(オイル穴加工、ラッピング、AQ処理)カム320度(11.5mmリフト)、バルブスプリングセット荷重23kg(フルリフト荷重52kg)
■ 点火系:MSD、OS技研製デスビ(プロトタイプ)
■ 吸気系:ウエーバー48DCO S/P(アウターベンチュリーφ42mm、ニードル250、エアジェット220、メインジェット185、エマルジョンF4、ポンプジェット50)
■ 排気系:OS技研製φ48mmタコ足、長瀬発動機製φ60mmワンオフマフラー
■ 冷却系:リフレッシュ60製大容量ラジエーター(電動ファン)、亀有製16段オイルクーラー
■ 燃料系:燃料ライン引き直し(φ10mm)
■ 駆動系:OS技研Aタイプツインプレートクラッチ(フライホイール軽量加工)、直結5速クロス、インプレッサ用R180デフケース(ファイナル4.444)、OS技研スーパーロックLSD、亀有強化フランジ
■ 足回り:(F)全長調整式車高調(バネレート10kg/mm) (R)TRDショックアブソーバー(ショート)、強化スプリング(16kg/mm)
■ ブレーキ:(F)エンドレス製パッド (R)S30Z用アルフィンドラム(加工)
■ タイヤ:ポテンザRE71R 165/55R14
■ ホイール:ボルクレーシングTE37 14×7J ±0
■ 内装:Defi NSタコメーター/NS追加メーター(油圧、油温、水温)




初出:ノスタルジックスピード 2018年2月号 vol.015(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1969年式 ダットサン ブルーバード SSS(全6記事)

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text : ISAO KATSUMORI(ZOO)/勝森勇夫(ズー)photo : RYOTA-RAW SHIMIZU(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックス ブックス)

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