幻の名車 日産 MID 4|縦置きに変更された、エンジンの搭載レイアウト|日産 MID 4-Ⅱ

エンジンは、後にフェアレディ300ZXにも積まれるVG30DETT型V6DOHCツインターボだ。

       
すぐに販売できるほどの完成度を誇っていたMID4は、突然の生産中止によって世に出ることのなかったクルマだ。
当時として画期的なシステムを持つMID4は、現在もひっそりと存在している。その幻の名車の全容を紹介しよう。

【日産 MID 4-Ⅱ Vol.2】

【1】から続く

 最初のMID4(I型)と大きく違うのは、アメリカの法規制、安全要件などを意識したレイアウトとしていることだ。FMVSS(アメリカ自動車安全基準)の車両衝突要件やペダルの法的レイアウトを考慮して設計を行った。また、パワートレーンと4輪駆動式トランスミッションも、I型の横置きから縦置きレイアウトに変えている。

 第2世代のMID4は、開発時間の短縮と高い運動性能を実現するために日産で初めてバードケージ方式を採用した。これは鳥かごのようにボディ外観にワイヤーを並べて組み、そのなかにパワーユニットやサスペンション、インテリアなどをセットしてチェックする手法だ。アメリカでは盛んに用いている。利点は、外からも中からも搭載状態が分かりやすいことだ。サイズ的な検討もしやすい。ちなみにバケットシートは、レカロよりもフィット感のいいケーニッヒを参考にした。

 MID4‐Iのサスペンションは、前後ともストラットで、4輪操舵のHICASを装備する。これに対しMID4‐IIは、フロントがダブルウイッシュボーン、リアはマルチリンクだ。新規でドライブトレーンも開発した。


>>【画像21枚】上げると四角いライトが顔を出す、最初のMID4とイメージが近いヘッドライトなど

 エンジンはVG30DE型V型6気筒DOHCに、ツインターボと空冷インタークーラーを追加したVG30DETT型だ。また、サスペンションの設計に制約が出ないように、V型6気筒エンジンの搭載レイアウトも横置きから縦置きに変更している。パワースペックは最高出力330ps/6800rpm、最大トルク39.0kg‐m/3200rpmを発生した。(本文敬称略)



フロントにはトランクスペースが確保された。四角い形状で、荷物や小物を収納しやすい。




ラウンド感が強まり、ランプなどの処理も洗練された。全幅は1770mmから1860mmまで広げられている。
 



全長が150mm延び、ホイールベースも2540mmまで長くなった。全高はどちらも1200mmだが、ずっと伸びやかだ。




ガーニッシュと一体になった横一文字のリアコンビランプを採用したこともあり、軽快感がある。
 


【3】に続く

初出:ハチマルヒーロー 2014年 11月号 vol.27(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

日産 MID 4-Ⅱ(全3記事)

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【1】から続く

text : HACHIMARU HERO/編集部 photo : MASAMI SATOU/佐藤正巳

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