幻の名車 日産 MID 4|最先端を行ったフルタイム4WDミッドシップ・スポーツカー|日産 MID 4-Ⅰ

エンジンはVG30DE型V6DOHCで、230ps/6000rpm、28.5kg-m/4000rpmのスペックだった。

       
すぐに販売できるほどの完成度を誇っていたMID4は、突然の生産中止によって世に出ることのなかったクルマだ。
当時として画期的なシステムを持つMID4は、現在もひっそりと存在している。その幻の名車の全容を紹介しよう。

【日産 MID 4-Ⅰ Vol.2】

【1】から続く

 櫻井は、世界に名だたるスポーツカーを超える、痛快な走りの真のミッドシップ・スポーツカーの開発を命じた。ただし、コスト低減と量産化しやすいように部品の新規設計を抑えるようにと厳命している。駆動方式は後輪駆動ではなく、最先端を行くフルタイム4WDだ。今ではアウディR8などが採用しているメカニズムだが、その当時は世界初の大胆な試みだった。

 エンジンはZ31フェアレディ300ZXなどに積まれている2960ccのVG30E型V型6気筒エンジンをペースに、これをDOHC化している。このVG30DE型DOHCをリアアクスルの前に横置きに搭載した。トランスミッションは5速MTだ。

 サスペンションは、4輪ともマクファーソンストラットである。4WDシステムは、プラネタリーギアを用いたセンターデフにビスカスカップリングを組み合わせた、ファーガソン式フルタイム4WDだ。開発する時間がなかったため、4WDユニットは軍用自動車や4WDシステムを作り慣れているオーストリアのシュタイアー・ダイムラー・プフ社に設計を依頼した。わずか1カ月で図面が届いたが、これは驚嘆するほど出来がよかったと言う。(本文敬称略)


>>【画像21枚】Z31フェアレディZと似た半開きのライズアップ・ヘッドライトも試作された、スーパーカーの定番とも言える格納式のリトラクタブルを採用するヘッドライトなど





デザインを担当したのは、高級車などのデザインを得意とする前澤義雄だ。
 



ファストバッククーペに見えるサイドシルエット。全長は4150mm、ホイールベースは2435mmだった。




水平基調のデザインを特徴とするリアビュー。スリットと一体化してL字型に見えるリアコンビランプ。


【3】に続く

初出:ハチマルヒーロー 2014年 11月号 vol.27(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

日産 MID 4-Ⅰ(全3記事)

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【1】から続く

text : HACHIMARU HERO/編集部 photo : MASAMI SATOU/佐藤正巳

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