「みなさん、お元気ですか?」全810通りの「セフィーロ・コーディネーション」|1990年式 日産 セフィーロ オーテックバージョン

トランクエンド左に車名バッチが装着される。

       
4ドアセダンタイプで、一見おとなしい外観。そんな見た目に騙される事なかれ。その心臓部にはスポーツカー顔負けの高性能エンジンが搭載されている。そんなスポーツセダンたちの勇姿をここに紹介しよう。

【1990年式 日産 セフィーロ オーテックバージョン Vol.1】

 1988年9月にニューカマーとしてデビューしたセフィーロ。当時の日産ミドルセダンと言えばスカイラインとローレルがラインナップされていたが、スカイラインほどスポーティーではなく、ローレルほど高級サルーン的ではない、両者の中間をねらったパーソナルセダンとして開発された。また、国産車の広告として初めてティザーキャンペーンが行われ、歌手・井上陽水さんが助手席の窓を開けて「みなさん、お元気ですか? 」と声を掛けるテレビCMを、今でも記憶している人は多いのではなかろうか。

 このような販売戦略でデビュー前から話題をさらったセフィーロだったが、そのメカニズムや走りは本物。シャシーは後に登場するR32スカイラインやC33ローレルと共用で、リアサスペンションは同年デビューのS13シルビアに続きマルチリンクサスを採用。4輪操舵システムの「ハイキャスⅡ」や、超音波センサー付き電子制御サスペンションと電子制御パワーステアリングを組み合わせた「DUET‐SS」という先進の機構も搭載された。そしてパワーユニットは全車RB20系で、SOHC、DOHCのほか、DOHCターボも設定し、優れた操縦性とゆとりあるパワー、そしてセダンならではの快適性を実現したのだ。

 また、セフィーロで画期的だったのは上下の意味合いを持つグレードを廃止し、「セフィーロ・コーディネーション」なる販売システムを取り入れたこと。これは、エンジン、サスペンション、ボディカラー、内装色、シート地などをユーザーが自由に選べるセミオーダーシステムで、全810通りのコーディネートが可能だったという。なお、SOHCはタウンライド、DOHCはツーリング、ターボはクルージング、とエンジン別にキーワードが与えられるとともに、DUET‐SS装着車はコンフォート、ハイキャスⅡ装着車はスポーツの名称が付けられ、SOHCのDUET‐SS装着車はコンフォートタウンライド、ターボのハイキャスⅡ装着車はスポーツクルージングというように呼ばれていた。

>>【画像19枚】取材車両は、オーテックジャパンが開発・生産したオーテックバージョン。その証明でもある良い状態で保管されている、新車時に付いているというコノリーレザーのタグなど



櫻井眞一郎さんの魂が宿る、ジェントル・スポーツセダン。




取材車両は中期型で、フロントグリルのデザインは前期や後期とは異なる。オーテックバージョンの場合、専用エンブレムも装着。





標準車ではオプションとなるリアスポイラーも、オーテックバージョンの場合は標準装備。LEDハイマウントストップランプ付きだ。






1990年式 セフィーロ オーテックバージョン(A31kai)
SPECIFICATIONS 諸元
全長×全幅×全高(mm) 4690×1695×1375
ホイールベース(mm) 2670
トレッド前/後(mm) 1460/1455
車両重量(kg) 1430
エンジン型式 RB20DET型
エンジン種類 直列6気筒DOHCターボ
総排気量(cc) 1998
ボア×ストローク(mm) 78.0×69.7
圧縮比 8.5:1
最高出力(ps/rpm) 225/6000
最大トルク(kg-m/rpm) 30.0/2800
変速比 1速 2.785 / 2速 1.545 / 3速 1.000 / 4速 0.694 / 後退 2.272
最終減速比 4.363
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション前/後 ストラット/マルチリンク
ブレーキ ベンチレーテッドディスク(前後とも)
タイヤ 215/60R15(前後とも)
発売当時価格 354.0万円

【2】に続く

初出:ハチマルヒーロー 2014年 11月号 vol.27(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1990年式 日産 セフィーロ オーテックバージョン(全3記事)

関連記事: 羊の皮を被った狼、スポーツセダン

関連記事: セフィーロ

text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : SATOSHI KAMIMURA/神村 聖

RECOMMENDED

RELATED

RANKING