構想から数えると10年、部品をこつこつと集めながら形にしたチェリーレーシング　〜2016〜｜1974年式 日産 チェリーX-1・R レーシング

わずか2年間という短期間ではあったが、ファンに強い印象を残したチェリーのレース活動。
40年の時を超え、チェリーに魅せられた男がここに新たなマシンを造り上げた　。

【1974年式 日産 チェリーX-1・R レーシング　Vol.3】

【2】から続く

　このチェリーX-1・R レーシングは、広島県の竹口自動車が製作したマシンだ。代表の竹口英三さんといえば、トレードマークでもあるオレンジ色のX-1セダンを所有する。このナンバー付きの車両でストリートからサーキットまで走ってきたが、長年酷使してきたことから少し休ませたいと、サーキット用のマシン製作を計画した。

　新車当時はチェリーにもプライベーター向けにレース用チューニングパーツが存在したのだが、活動のほとんどがワークスだったこともあり、サニーと違ってパーツの入手は困難。竹口さんは、各地の旧車イベントに参加しながら、部品交換会でチェリーのパーツを探した。また、ヘリテージコレクションのレーシングチェリーを、チェリーを愛好する仲間とともに団体見学し、その姿を目に焼き付けた。

　構想から数えると10年、部品をこつこつと集めながら形にしたチェリーレーシング。できるだけ当時仕様に近づけつつも、車高調を自作し、ブレーキも現代のクルマから流用するなど、これまで培ってきた竹口さんの経験とアイデアを盛り込んだ。

　純粋に走りを楽しむために製作したこのマシン。当時、新しい部品を作り、テストをしながらサーキットを走り込み、熟成を進めていた。

>>【画像23枚】チェリーはサニー用のマニでソレックスを組むと、バルクヘッドにファンネルが接近しすぎて吸気効率が落ちるため、FCR化の効果が大きい。竹口さんが以前10台限定で製作したオリジナル品のインマニとともに、4連装されたFCR41キャブレターなど


竹口自動車　竹口英三代表


　西日本エリアを中心に、サーキット走行やジムカーナをこのチェリーで楽しんでいる竹口さん。竹口自動車はチェリークラブジャパン（CCJ）の事務局でもあり、全国60名以上のチェリーファンと交流がある。クルマの所有にこだわらずチェリー好きなら誰でも歓迎だ。レストアやメンテの相談にも乗る。



フロントデスビタイプのA12型エンジン。MSD7ALの発する強烈な点火スパークで、圧縮比12:1というレーシング仕様としている。




【1】【2】から続く


1974年式 日産 チェリーX-1・R レーシング
Specification　諸元
●エンジン:チェリーX-1・R用A12型改1298cc/東名自動車製当時ものφ76.85mmピストン/コンロッド研磨加工/レース用クランク/80度カム（コンロッド、クランク、カムは当時もの日産純正レース用）/ビッグバルブ（径不明）/東名自動車製バルブスプリング/ニスモ製メタル
●吸気系:FCR41キャブ4連装/竹口自動車オリジナルインマニ
●排気系:ワンオフステンレスタコ足/φ50mmマフラー
●駆動系:社外クロモリフライホイール/レースオプションクラッチ/LSD（以上当時もの）/チェリーバン用デフファイナル
●点火系:MSD7AL/サニトラ用純正フルトラデスビ 
●冷却系:ラジエーターアルミ3層ワンオフ製作/オイルクーラー当時レースオプションと同形状でワンオフ製作/レース用オプションオイルポンプ 
●足回り:（F）自作車高調（社外ショックアブソーバー、スイフトスプリング）/（R）当時ものレース用オプションショック、スプリング/レース用オプションリアスタビ取り付け予定（ステー製作中） 
●ブレーキ:（F）フィットRSキャリパー、同ローター/（R）ブレーキシュープロジェクトμで張り替え
●ホイール:RSワタナベ製アルミ（F）7.5J14Bタイプ （R）7.0J14Aタイプ
●タイヤ:ヨコハマアドバンA050　185/55R14（前後とも）
●エクステリア:リスタード製FRPボンネット、フロントフェンダー、リアゲート/フロントガラス以外アクリルに変更
●メーター:ウルトラ製タコメーター/トラスト製水温計/ニスモ製油温、油圧計
●その他:12点式ワンオフロールバー/ATL製30L安全タンク

初出：ノスタルジックヒーロー 2016年 6月号 Vol.175（記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです）

1974年式 日産 チェリーX-1・R レーシング（全3記事）

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