18歳のときに手に入れたチェリーX-1を休ませたいと、新たなサーキット用マシンの製作を計画 〜2016〜|1974年式 日産 チェリーX-1・R レーシング

レーシーなダッシュボードはノーマルからクラッシュパッドを外したもので、十分な軽量化となる。メーター類は実用性を重視して選択。ステアリングはナルディに変更している。ロールケージは12点式。フロントバーにホイールハウスを貫通するパイプを追加、ストラット周辺にマウントしてボディ補強としている。

       
わずか2年間という短期間ではあったが、ファンに強い印象を残したチェリーのレース活動。
40年の時を超え、チェリーに魅せられた男がここに新たなマシンを造り上げた。

【1974年式 日産 チェリーX-1・R レーシング Vol.2】

【1】から続く

 歴代車両の一部を保管している「日産ヘリテージコレクション」の中に、1973年仕様のワークス車両が現存している。外観は大型のオーバーフェンダーやフロントマスクカバーで武装。横置きのA12型エンジンは、ルーカス製インジェクションを装着して135psを発生したという。さらに、オプションヘッドのクロスフロー仕様も開発されていた。

 ここで紹介するレーシングチェリーは、広島県の竹口自動車が製作したマシンだ。代表であるオーナーは日産チェリー広島にメカニックで勤めていた18歳のときに、免許を取ってすぐ手に入れたチェリーX-1の2ドアセダンを現在も大切にし、竹口自動車として独立後もチェリーのメンテナンス、レストアを行い、全国のチェリーオーナーに頼られる存在だ。

 竹口さんのトレードマークでもあるオレンジ色のX−1セダンは、ナンバー付きでストリートからサーキットまで走ってきたが、長年酷使してきたことから少し休ませたいと、サーキット用のマシン製作を計画した。

>>【画像23枚】レーシーなダッシュボードはノーマルからクラッシュパッドを外したもので、十分な軽量化となる。メーター類は実用性を重視して選択。ステアリングはナルディに変更している。フロントバーにホイールハウスを貫通するパイプを追加、ストラット周辺にマウントしてボディ補強としている12点式のロールケージなど



PLX製の空燃比計を装着。走行中も常時A/F比をモニターでき、セッティングに生かすことができる。キャブ車に取り付ける人も多い。





20年以上愛用しているニスモ製の軽量フルバケットシートを装着。





前輪駆動でレースを席巻した 、チェリーの魂ここにあり。



1974年式 日産 チェリーX-1・R レーシング
Specification 諸元
●エンジン:チェリーX-1・R用A12型改1298cc/東名自動車製当時ものφ76.85mmピストン/コンロッド研磨加工/レース用クランク/80度カム(コンロッド、クランク、カムは当時もの日産純正レース用)/ビッグバルブ(径不明)/東名自動車製バルブスプリング/ニスモ製メタル
●吸気系:FCR41キャブ4連装/竹口自動車オリジナルインマニ
●排気系:ワンオフステンレスタコ足/φ50mmマフラー
●駆動系:社外クロモリフライホイール/レースオプションクラッチ/LSD(以上当時もの)/チェリーバン用デフファイナル
●点火系:MSD7AL/サニトラ用純正フルトラデスビ 
●冷却系:ラジエーターアルミ3層ワンオフ製作/オイルクーラー当時レースオプションと同形状でワンオフ製作/レース用オプションオイルポンプ 
●足回り:(F)自作車高調(社外ショックアブソーバー、スイフトスプリング)/(R)当時ものレース用オプションショック、スプリング/レース用オプションリアスタビ取り付け予定(ステー製作中) 
●ブレーキ:(F)フィットRSキャリパー、同ローター/(R)ブレーキシュープロジェクトμで張り替え
●ホイール:RSワタナベ製アルミ(F)7.5J14Bタイプ (R)7.0J14Aタイプ
●タイヤ:ヨコハマアドバンA050 185/55R14(前後とも)
●エクステリア:リスタード製FRPボンネット、フロントフェンダー、リアゲート/フロントガラス以外アクリルに変更
●メーター:ウルトラ製タコメーター/トラスト製水温計/ニスモ製油温、油圧計
●その他:12点式ワンオフロールバー/ATL製30L安全タンク


【3】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2016年 6月号 Vol.175(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1974年式 日産 チェリーX-1・R レーシング(全3記事)

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【1】から続く

photo : NOBUTAKA KOREMOTO/是本信高

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