全長3000mm以下! 軽自動車枠内で開発されたスポーツ360|1962年式 ホンダ スポーツ360 Vol.2|痛快スポーツモデル

タイヤは12インチと小さいが、全長も短いため絶妙なバランスのサイドビュー。ホイールは12×4Jだが、P.C.Dが130mmで5穴のため転用できるものがなく新たに製作。ホイールカバーは設計図があったため若い社員が製作した。なんと金属製だ。

       
【1962年式 ホンダ スポーツ360 Vol.2】

 しかしこの1カ月前、新規での4輪自動車開発・販売を官庁主導で選別する、特定産業振興臨時措置法案(特振法)が国会に提案されていた。この法案に対し誰もが納得できる実績を作るため、軽枠を外れた自動車も作るべきとの判断から492ccエンジンを搭載し、全長を205mm延ばしたスポーツ500を開発。1962年10月に開催された第9回全日本自動車ショーには、スポーツ360(2XAS250)とスポーツ500の両方が出展された。

 スポーツ500との大きな違いは全長。軽自動車枠内で開発されたスポーツ360は、全長3000mm以下に収められていたため、明らかにリアのオーバーハングが短い。また、タイヤサイズは大きく感じるが、全体のサイズが小さいため、錯覚をおこしているだけで、実はスポーツ500や市販されたSシリーズと比べて1インチ小さい12インチとなっている。軽自動車枠から解放されたSシリーズと違い、スポーツ360では制約の中で本田宗一郎さんの理想を実現するためさまざまな工夫がなされた。もちろん1から10まで指示されたわけではない。関わった人すべてが希有なスポーツカーを市販するために知恵を絞り、休みなく働いた結果なのである。しかし、結局ホンダ自らの判断でスポーツ360の発売は中止されることになった。

写真や雑誌の資料などを参照しながら製作された内装など【写真7枚】



Vol.3に続く

SPECIFICATIONS 主要諸元
1962年式 ホンダ スポーツ360(AS250)
●全長 2990mm
●全幅 1295mm
●全高 1146mm
●ホイールベース 2000mm
●最低地上高 160mm
●車両重量 510kg
●乗車定員 2名
●最高速度 120km/h以上
●登坂能力 1/5
●最小回転半径 4.2m
●エンジン種類 水冷直列4気筒4サイクルDOHC
●総排気量 356cc
●ボア×ストローク 49.0×47.0mm
●最高出力 33ps/9000rpm
●最大トルク 2.7kg-m/7000rpm
●燃料タンク容量 25L
●ステアリング形式 ラック&ピニオン
●サスペンション前/後 ウィッシュボーン・トーションバー/トレーリングアーム・コイルスプリング
●ブレーキ リーディングトレーリング形式油圧ドラムブレーキ
●タイヤ 前後とも5.20-12-2PR

初出:ノスタルジックヒーロー 2014年7月号 Vol.163(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1962年式 ホンダ スポーツ360(全3記事)

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photo : ISAO YATSUI/谷井 功

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