「S800であれば最初からクーペと決めていた」クーペのチェーン駆動車は231台|読者が選ぶ国産旧車人気ランキング2014【5位】1966年式 ホンダ S800 クーペ Vol.2

S800クーペのチェーン駆動車は231台しか生産されていない。

       
【1966年式 ホンダ S800 クーペ Vol.2】

読者が選ぶ国産旧車人気ランキング 2014 5位 ホンダS600/S800

 排気量を606ccに拡大したホンダS600(AS285)は、フロントフェイスのデザインを変更して登場。しかし8カ月後の1964年11月には、生産工場の移管もあり、マイナーチェンジが行われた。外観ではヘッドライトカバーが廃止され、足回りなども仕様変更されていた。

 1965年2月には、オープン2シーターに加えてクーペボディを発売。ホンダS600クーペ(AS285C)は、全天候型のハッチバックモデルとして、オープンとは別の魅力を放っていた。

 毎年改良を加えて進化してきたホンダSだったが、ここで大きな節目を迎える。1966年1月、ホンダS800(AS800)╱ホンダS800クーペ(AS800C)の登場だ。海外市場でも人気を博していたS600だったが、パワー不足の指摘が多く寄せられ、エンジン排気量アップでの対処が計られた。791ccに排気量を拡大。最高出力も70 psとなり、カタログの最高速度も160km╱hと表記。100マイルカーの仲間入りを果たした。また、同年5月以降は、リアサスペンションがチェーン駆動から通常のリジッドアクスルに変更された。

 1968年5月にホンダS800Mを発売。70年5月にシリーズ生産終了となった。

S800であれば最初からクーペと決めていた


OWNER’S VOICE/鈴木 豊さん

「国産の小型クラシックカーに乗ってみたかった」というオーナーの鈴木 豊さん。ホンダS800であれば「初めからクーペを持ちたいと決めていました」と話す。手に入れてから4年半ほどたつが、基本的にメンテナンスは自分で行っているそうで、重整備だけは購入先のホンダSスペシャリスト、ガレージイワサに依頼している。

 S800クーペのチェーン駆動車は231台しか生産されていないそうで、現存車は20台ほどだとか。鈴木さんは貴重な個体であることを意識しながらも、コンディション維持のために週に1度は動かしている。家族もS800クーペを所有することを鈴木さんの趣味として認めてくれているそうで、これからも大切に維持されていくに違いない。


ウッドパーツが印象的なインストルメントパネル周りなど【写真12枚】


1966年式 ホンダ S800 クーペ(AS800C)主要諸元
●販売期間 1964年3月~1970年5月

●全長 3335mm
●全幅 1400mm
●全高 1195mm
●ホイールベース 2000mm
●トレッド前/後 1150/1128mm
●最低地上高 160mm
●室内長 840mm
●室内幅 1195mm
●室内高 930mm
●車両重量 735kg
●乗車定員 2名
●最高速度 160km/h
●登坂能力sinθ 0.355
●0→400m加速 16.9秒
●最小回転半径 4.4m
●エンジン型式 AS800E型
●エンジン種類 水冷直列4気筒DOHC
●総排気量 791cc
●ボア×ストローク 60×70mm
●圧縮比 9.2:1
●最高出力 70ps/8000rpm
●最大トルク 6.7kg-m/6000rpm
●燃料供給装置 横向可変ベンチュリー(京浜CVB36N30A1)
●変速比 1速3.20/2速1.98/3速1.29/4速0.91/後退3.65
●1次減速比 3.15
●2次(最終)減速比 1.87
●燃料タンク容量 30L
●ステアリング形式 ラック&ピニオン
●サスペンション前/後 ダブルウイッシュボーン・トーションバー/トレーリングアーム・コイル
●ブレーキ前後とも リーディングトレーリング
●タイヤ前後とも 6.15-13-4PR
●発売当時価格 69.4万円

初出:ノスタルジックヒーロー 2014年4月号 Vol.162(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1966年式 ホンダ S800 クーペ(全2記事)

2014 読者が選ぶ国産旧車人気ランキング

ホンダSシリーズ

hoto : MAKOTO INOUE/井上 誠

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