幻の4気筒DOHCユニット動態保存計画【2-4】プロジェクト始動から6カ月。高回転までハイレスポンスで吹け上がる元祖TC16が完成|トミタクガレージ再生プロジェクト#02

今のところ空っぽのTC16-MA2のヘッドにロッカーアームを置いてみた。ロッカーシャフトはカムの外側を通る設計。ロッカーアームは、外側から各バルブに向け、計16個セットされる。なお、IN/EXを問わずすべて同じ仕様で、形状や重量を統一することが加工時の一番の課題だ。

OS技研の倉庫内で長年眠っていたTC16-MA2を、今の技術で復活させるプロジェクト。2回目は、欠品していたMA2用のロッカーアームを製作する。製法は当時と同じ「砂型鋳造+旋盤加工」でリアルに再現。創業者の岡崎正治さんが、L型用を参考に手探りで設計したといわれるロッカーアームが、愛弟子のトミタクこと富松拓也さんの手で慎重に再現される。

【トミタクガレージ再生プロジェクト#02 Vol.4】

【画像13枚】当時と同じ「砂型鋳造+旋盤加工」でMA2用ロッカーアームを忠実に再現

高回転高出力のTC型エンジンは、ロッカーアームとカムとの摺動面の磨耗が激しく、特殊な合金を溶射し、表面強度を引き上げている。

溶射による表面加工が完了したら、ロッカー加工の最終工程となる、フェース面の研磨を行う。トミタク自作の研磨機を使い、ダイヤルゲージでゆがみをチェックしながら、慎重に、高精度に仕上げていく。

この精度いかんによって、エンジンの回り具合やスムーズさに大きく影響する重要な作業だ。高回転までハイレスポンスで吹け上がる元祖TC16。その要となるロッカーアームが、プロジェクト始動から6カ月を経て、ようやく仕上がった。


>>右が当時のTC16-MA2用ロッカーアーム。左は後に製作された元祖TC24-B1用で、カムの位置がヘッドの中央寄りに変更されたため、TC16-MA2用に比べてアームが短い。また、摺動面が大きい分、軸部を太くすることで剛性アップを図っている。


>>当時のロッカーアームとの比較。加工前のロッカーアームが今回製作したもので、支点や摺動面までの距離はほぼ同じだが、摺動面が大きく、アームが短く、太くなっており、アップデートされている。これは、鋳造技術の進化によるところが大きい。
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【3】から続く

初出:ノスタルジックスピード vol.024 2020年4月号
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

トミタクガレージ再生プロジェクト#02(全4記事)

TEXT:HIDEO KOBAYASHI/小林秀雄 PHOTO:MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ) COOPERATION : MIZUKAMI AUTO/水上自動車工業

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